2016年05月11日
ゆりもどし
昨年3月のコラムで、アメリカでは音楽ダウンロードやストリーミングが一般的に
なりつつある中、その両極にあるアナログレコードのファン層も戻ってきていることに
ふれましたが、この一年で、その波は日本の若者にも波及しているようです。
アナログレコードは、私のようなオールディーズファンや、“音の良さ”にこだわる
人たちに支持され続けてきましたが、ここ数年、アナログレコードを聞いたことがない
若者の間でも人気が高まってきているとのこと。
そのきっかけの一つに上げられるのが『レコードストア・デイ』です。
2008年、米国のレコード店主たちが集まって立ち上げたムーブメントで、
それに賛同した大物アーティストたちがこのイベント会場でライブ演奏をしたり、
イベントに合わせて限定レコードを発売する『お祭り』です。これがヨーロッパに
飛び火し、日本にもその波が押し寄せています。
毎年1回、4月の第3土曜日に開催されており、今年は4月16日でした。
全国のアナログ盤も販売するレコード店が盛り上がりをみせ、
テレビのニュースでも取り上げられるようになってきました。
インタビューを受けた若者の「データと違って、モノを手に入れることで、
音楽を大切にする気持ちが湧いてきた」とのコメントが印象的でした。
「レコード」はその音の良さだけではなく、盤そのものやレーベルデザイン、そして
何よりも、ジャケットが命(イノチ)です。物理的に所有することの楽しみがあります。
データ化された音楽を楽しむ人がいる一方で、「クリックして手にいれ、クリックして
捨てる」そのことへの反動として、音楽とジャケットが一体となった芸術を意識する
若者が戻ってきていることに共感をおぼえます。何ごとにも、揺り戻しってあるんですね。
先日、似たようなことで盛り上がりました。私が参加した「オールディーズを聴く会」
で、『ラジカセ展』のことが話題になりました。あのころ、自分が好きな曲を集めて
カセットテープに録音して聴いていました。レコードがスリ減るからやってたのかな?
いや、自分だけの曲順を気に入っていたような気がします。ラジオの音楽番組制作者
気分で、楽しんでいたものです。
ただ今、『大ラジカセ展』開催中です。
http://dairadicasseten.haction.co.jp/
会場:梅田ロフト5階(2016.4.22 ~ 5.17)
テレビもついた「ラテカセ」なんていうのも展示してありました。