消費電力を可視化する省エネプロジェクトを展開
project789
乾 栄一郎氏
AIDORプログラムを通じて進めているビジネスは、どのようなものですか?
消費電力を可視化する省エネプロジェクトを展開
電力量を測るデバイスを活用した省エネプロジェクトです。これまで会社経営に携わってきて、コストカットの重要性を感じていました。
なかでも電気は特に重要で、『電力量をみれば、会社の動きがわかる』ということに気づいたんです。そこでIoTを活用して、電力量を可視化する仕組みを考えました。
仕組みはコンセントやブレーカーなどに電気の情報を計測するセンサーを入れ、その情報を無線WI-SUNでゲートウェイに飛ばし、クラウドサービスで情報管理するものです。これにより電力情報は可視化され、CSVで書き出すこともできます。例えば工場であれば、どの機械が、どの時間に、どれくらいの電力を使用しているのかが、個別でわかるようになり、無駄な消費電力の削減だけでなく、作業の効率化や使用機器の見直しなどにも役立ちます。
政府が省エネを推進し、補助金や助成金を導入していることからも、このビジネスの将来性は明るいと感じています。それに日本はなんと言ってもモノづくりの国です。仮に製造業の方が電気代を10%カットして、その分を開発費や雇用のために利用したら、さらに経済循環はよくなると思い、このビジネスを始めました。
AIDORに参加したきっかけと、参加当時のビジネスレベルを教えてください
「何ができるのか?」を知るために参加を決意
月1回、ソフトウェアやセンサーを扱う企業が集まる日本橋のロボット研究会に参加していて、そこでAIDOR共同体事務局の方がAIDORアクセラレーションプログラムのプレゼンをされたことで知りました。
当時、当社のビジネスは取引先の社数が限られていたことがウィークポイントで、それを克服したいという想いがあったんです。具体的なIoTビジネスのアイデアは持っていませんでしたが、センサーやラズベリー・パイなどのデバイス機器が一昔前よりも安価になっていたことは知っていました。
だから、何ができるのかはわからないけど、『どんなことができるのか?』を知りたいと思って参加を決めました。
参加した感想と、どのような部分がメリットだと感じていますか?
試作品が安価で尚且つスピーディーに開発できた
結局、IoTビジネスは「こんなことをやってみたら、どうだろう?」と考えているだけではダメなんです。
自分で試してみない限り、答えはわかりません。できるかどうかを早い段階で知れるだけでも、参加する価値はありますね。同期メンバーで面白いアイデアを持っているけど、まだ形になっていない人もいます。
そんな人たちも皆さん、「参加して良かった」と話していました。「製品化は本当に難しいし、やるべきことがもっとあるとわかっただけでもプラスだった」と。個人的には、お金につながること以上に物事の考え方が変わったことが大きくて、人間としても会社としても2、3段階成長したと感じています。
それに良い物を作れば、売れるという確信も掴みました。ただし、その良い物になるまでには、ぶつかる壁がたくさんあります。
その壁を乗り越えるためには開発費が必要なのですが、プログラムに参加していれば、その費用が安く抑えられます。なぜなら、それは優秀なメンター陣がサポートしてくれるから。
私の場合でも、個人で試作品を作っていたら、100万、200万と簡単に使っていたはずです。それがメンターの方々からインターネットに乗っているよりも的確な情報をいただき、確かな技術や能力を持った良い人脈を紹介してもらうことで、安価で尚且つスピーディーに開発できました。メンターや事務局からの手厚いサポートを受けられることは、プログラムの大きなメリットでしたね。