IoTシステム構築実習講座~さくらのIoT PlatformでArduinoマイコンをクラウド接続~
2月1日はイメディオ・制作技術セミナーとして、『IoTシステム構築実習講座~さくらのIoT PlatformでArduinoマイコンをクラウド接続~』を開催しました。セミナー講師は、IoTや電子工作に関する執筆や講師活動はもちろんのこと、組み込み系やネットワーク系の技術教育なども行うトライアングルエレクトロニクス代表・久保 幸夫氏。加えてテクニカルな内容に関しては、さくらインターネット株式会社の植木研介氏がサブ講師として説明を担当しました。
前日には、Arduinoに触れたことがない方のみを対象に、基本的なスキルを身に付ける「Arduinoマイコン入門」セミナーを開催。
「全て初めてのことばかりでとても勉強になりました。全く知識がない状態でもわかりやすく満足、入門編としては、知りたい内容が知ることができ満足。」などのお声をいただきました。
久保氏から本日のセミナー全体の流れと簡単な自己紹介がされた後、早速セミナー開始です。
1.講座のガイダンス
まずは久保氏より、使えるIoTにするには、セキュリティの確保が大切だが、なかなかセキュアな環境を構築するのは難しいという話がありました。
通信のセキュリティの確保は、暗号化が主流だが、パソコンに比べ、IoT向けのデバイスの場合、プロセッサのパワーが貧弱で、メモリも少ないため、強固な暗号を使用すると、その処理に多くのプロセッサのパワーとメモリを消費します。
そのため、強固な暗号を使うほど、処理のオーバーヘッドが増し、遅延が大きくなり、レスポンスが低下する場合もよくあります。
また、IoTデバイスの中には、設置してから何年間も動作を要求される場合もあります。もし、使用中の暗号にウイークポイントが発見された場合、デバイスの数の多さも伴って、その対策が難しい、という課題もあります。
このような、セキュリティの強さと、レスポンス、数年にわたるセキュリティ確保、そしてこれらのバランスをいかに取るかに、多くの開発者が頭を悩ませているのが現状とのこと。
そうした現在、今回利用するさくらインターネットの「さくらのIoT Platform」は、まだβ版ではあるものセキュアで可能性があると思われる、と久保氏
モノを制御する場合、レスポンスが重要視されることも多くあります。
セキュリティに関する負担が最小限にできる「さくらのIoT Platform」でデバイスとクラウドをつなげば、制御用途でのレスポンススピードを確保しやすいと言います。(ただし、非常に高度なリアルタイム応答性が求められるものは除きます)
これは「さくらのIoT Platform」が、クラウド側のサービスと通信モジュールをパッケージ化し、その間をモバイル通信網の閉域接続を使用してIPパケットの送受信を実現しているから。しかもユーザはIPを意識することなく通信を行うことができる、言い換えると、ユーザからもIPアドレスが見えない。もちろん、外部からも、IPアドレスが見えないので、セキュアな通信を実現できる。暗号や認証の実装に多くの手間と時間を割かずとも、モノとモノをセキュアにつなぎたいという本来の欲求をシンプルに実現できるのが最大のメリットだそうです。
2.さくらのIoT Platformの説明
ここで、さくらインターネットの植木氏にバトンタッチ。植木氏からは簡単な自己紹介のあと、「さくらのIoT Platform」に関する説明がありました。
「さくらのIoT Platform」は、モノやコトの相関性や関係性を見出し、それを世界でシェアできるプラットフォームにすることをめざして開発されたと説明がありました。また、現在のIoTシェアマップやIoTが注目されてきた経緯などについて解説や紹介がありました。現在、IoTはビジネスモデル転換の前段と位置づけられており、第四次産業革命のきっかけとなると考えられているそうです。
また、「さくらのIoT Platform」は、通信モジュールから連携までを一括で提供するサービスであり、「データを迎えに行く」という発想で、データの送受信手段や安全な通信経路などを提供するのが強み。しかも、閉域網で非常にセキュアなの点を最大の特徴とし、他にもファイル配信機能など、便利な機能が搭載されているとのことでした。
3.Arduinoの準備
ここからは再び久保氏が登場し、持参したPCとひとり1つ貸与されたワークショップキットを用いて、ワークショップを進めていくことに。まずは手はじめにArduinoの開発環境の準備として、Arduino IDEのセットアップを開始。続いて温湿度センサーモジュールとのつなぎ込み、ライブラリをインストールしての動作確認などを行いました。
また、設定方法が分からなかったり、正しく動作しない受講者に対して、久保氏と植木氏が丁寧にサポートしていました。
4.IoT Platformの準備と接続
ここからは「さくらのIoT Platform」を設定し、Arduinoとの接続を確認します。最初に「さくらのIoT Platform」のコントロールパネルを表示し、テスト用に提供されたIDとパスワードを入力し、ログインすることをめざしました。連携サービスのWebSocketを設定するなどして、コントロールパネルの準備を完了しました。
動作設定などでトラブルが発生した受講者もいましたが、久保氏&植木氏のサポートによって無事全員が接続を完了しました。
続いてクラウドコントロールパネルへのログインを行い、引き続きクラウド上での作業に移行。クラウド上にサーバを構築し、Node-REDが使えるように設定していきます。基本的にスクリプトは、用意されたソースコードをコピー&ペーストできるように準備され、効率良くセミナーが進行するように配慮されていました。NodeーRED設定後にサーバを立ち上げ、WindowsならTeraterm、Macならターミナルを立ち上げて構築を進めていきました。さらに、動作確認を通じて実際にクラウドとデバイスが結ばれていることを確認しました。
5.応用事例
ここまででワークショップは終了し、ここからはArduinoと「さくらのIoT Platform」を使った応用事例のデモや、IoTシステムの勘どころを解説していました。具体的な利用事例としてWebサーバを使ったリモコン的な使い方、サーバやネットワークの遠隔監視などにも活用できることが紹介されました。
セミナーの最後には、久保氏から「あくまでも入口であり基本的な内容。IoTシステムは小さくはじめることができますが、セキュリティ確保の重要性などをおそろかにせず、独自の発想で活用してください」といった趣旨の説明がありセミナーは終了しました。
6.交流会
講師 久保氏とサブ講師 植木氏を交えた交流会には、セミナー受講者の多くが参加しました。ジュースやお菓子を片手に、受講者同士でコミュニケーションをはかったり、講師である2人に質問したりしていました。
受講アンケートでいただいたお声を紹介します
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とてもわかりやすく明解に教えていただいたのと、話がわかりやすく自分の参考になった。
さくらのIoT Platformについて、いろいろとと知ることができた。 - さくらのIoTの通信モジュールを購入しているので、その使い方が理解できた。
- 実習講座が少ないのと、十分追いついていける内容であり満足。
- とてもよく理解することができました。
- さくらのIoTを使って実際に目の前のセンサー値をサーバーに送ることができ、満足
- とても分かりやすかったです!満足
- さくらのIoT試してみたかったので、とても分かりやすくよかったです。
- モノの送信のみなので受信も家でやります。
- IoTの仕組みの一部に触れることができた。
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