【レポート】5G X LAB OSAKA「生成AIコーナー」
公益財団法人大阪産業局(ソフト産業プラザTEQS)では、大阪市やソフトバンク株式会社等と共同運営する「5G X LAB OSAKA」において、2024年10月1日(火)から新たに「生成AIコーナー」を設置いたしました。
生成AIはあらゆる産業で活用が進み、市場規模は2022年の1.2兆円から2030年には14.2兆円に急拡大すると予測されています。その一方で、中小・スタートアップ企業は技術やリソース不足から生成AIの開発や活用が進んでいないのが現状です。そこで「5G X LAB OSAKA」では生成AIコーナーを新設することで、5G技術を体験しながらビジネスアイデアを発想する場を提供いたします。
本レポートでは、中小・スタートアップ企業による生成AIを活用した製品・サービス開発を促進することを目的とした、本施設の生成AIコーナーについてご紹介いたします。
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生成AIコーナーは、5G X LAB OSAKAの一角に設置されております。今後は共同運営するソフトバンク株式会社等とも協議を重ねて、さらにコンテンツを増やしていく予定です。今回は取材時(2025年4月)に展示されていた6つのコンテンツをご紹介します。
【かんじぃPT】
「かんじぃPT」は、株式会社LearnMoreが開発した小学生向けの漢字学習アプリケーションです。利用者(主に小学生)が好きな漢字を選ぶことで、選ばれた漢字を使用して生成AIが架空の物語を生成します。出来上がった物語を読んだり、クラスメイトと共有したりすることで、漢字学習に活用できます。また生徒が使用するだけでなく、先生が漢字テストを作成する際の文章づくりや、日本語を学ぶ外国人向けの漢字学習の教材としても利用可能なサービスです。
【TASUKI Annotation】
AIによる画像認識にはアノテーションと呼ばれる、データにラベルやタグを付ける作業が必要です。そのようにラベル付けされたデータが「教師データ」となり、それらを多く読み込ませることで、正確な画像認識ができるようになります。AI精度向上に直結するこの教師データを、高品質で提供するのがソフトバンク株式会社のアノテーションサービス『TASUKI Annotation』です。TASUKI Annotationでは、アノテーションにおいて最も労力を必要とする初期のラベルやタグ付けをAIでサポートすることで、開発の時間的コストの削減に貢献してくれます。
【Axross Recipe for Biz】
AI・DX人材育成のためにソフトバンク株式会社で開発され、実際に利用もされているオンライン学習プラットフォーム。AI活用では、どの企業でも人材育成がひとつの大きな課題です。その課題解決をサポートするのが「Axross Recipe for Biz」で、AIやDXにおける入門からビジネス活用までを動画で体系的に学ぶことができるeラーニングサービスとなっています。豊富な動画教材が用意されているだけでなく、Recipe(レシピ)の名の通り、利用者の動画投稿も可能なので、社内での情報や知識共有を促し、AI人材のコミュニティ形成にも役立ちます。
※5G X LAB OSAKAの生成AIコーナーでは、デモ用アカウントにて動画視聴が可能です
【AI接客サービス】
咲洲テックラボプログラムの採択企業である株式会社Qualiagramによって展示されているのが、AI接客サービス「まなみ」です。これは利用者の質問に対し、生成AI技術を駆使したアバターがレスポンスを行う対話型の接客サービスとなっており、現在も実証実験を兼ねて利用されています。本施設では5G X LAB OSAKAや生成AIコーナーの紹介を専門的に対応していますが、大阪・関西万博にも出展予定で、万博会場では大阪ヘルスケアパビリオンのリボーンチャレンジコーナーの案内係として活躍予定です。
【ダンスモーション生成AI】
2024年に福岡県で設立したマッドソフト株式会社が出展しているのが、生成AIで即興ダンスモーションの作成サービスです。本サービスに好きな楽曲をアップロードすれば、生成AIが曲に合わせたダンスをすぐに作成して、アバターが披露してくれます。学校やダンススクールでのダンス創作の場面などにおいて、効果的に利用できると考えられます。また漫画やイラストのキャラクターなどに動きをつけることも出来るので、企業のマスコットキャラに独自ダンスを踊らせるような使い方でも応用可能です。
※5G X LAB OSAKAの生成AIコーナーではデモのダンス映像をご覧いただけます
【生成AIアシスト ダイエットアプリ】
公益財団法人大阪産業局(ソフト産業プラザTEQS)が主催した生成AIのアクセラレーションプログラム「TEQS Generative AI QUEST」の参加企業で、デモデイにおいて最優秀賞を受賞したデイジーヘルステック株式会社のダイエットアプリ「デイジー」。デイジーの特長は、さまざまな点で生成AIを活用しているところです。例えば、ユーザが摂取した食事や商品タグをカメラ撮影することで、AIが料理や食品を判別し摂取カロリーや三大栄養素を登録してくれます。また、栄養や運動指導をするトレーナーも生成AIが担当し、ユーザの食事内容や活動状況に合わせて、チャット方式でのアドバイスを行ってくれます。特に、元理学療法士でもある代表取締役社長の佐々木峻介氏が開発したAIトレーナーとの会話は、ユーザの気持ちに寄り添いダイエットのモチベーションが持続できるように工夫されているところは、とても興味深いポイントです。
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取材・文 中西 義富(Office Vinculo)