AIDORデモデイ2019【Part2】
~Part2~
⑥IoT技術を使った飲食店の“見える化”
チーム名:バイオシグナル株式会社
登壇者:得丸智弘氏
心臓血管外科医、医学博士、調理師、料理研究家など、さまざまな分野での顔を持つバイオシグナル株式会社の得丸氏は、「屋外での飲酒は酔いにくい」「寒いとビールではなく熱燗が飲みたくなる」など、人の行動が自然環境と密接な関係に着目。気圧の高い飛行機内では味覚低下が起こりやすく味付けを濃くしていることや、アップテンポの音楽が流れる場所ではビールの回転率が上がるなどのエビデンスがあるものの、環境と飲食にはまだ謎が多いと話します。そこで得丸氏は、これら飲食に関わるデータ(個人情報、POS、センサー測定など)を計測し、情報分析することで、飲食店が「より美味しいものを作るため」「より儲かるため」のエビデンスを作り出し、医学と飲食のマッチングを行うソリューションを提案。また分析結果は店舗コンサルやコンテンツ化、空調や空間作りなどの環境制御にも活かす考えも持っています。現在は試作機「J-HOP(仮称)」が完成しており、データの採取・分析を進めている段階。審査員の質疑応答では、センサーによる取得情報の種類に関する質問があり、得丸氏は現状の温度、湿度、気圧、CO2に加えて、今後は騒音、照明などについても測定できるように調整予定と回答されました。
⑦Show道先生
チーム名:Show道先生
登壇者:宇山彩香氏
宇山氏は、現在指導を受けている書道師範からの「どうすれば書道を習う人が増えるのか?」という相談に対して、『書道と漢字のオンラインラーニングサービス』を考案。日本の伝統文化に興味のある外国人は推定780万人いることから、海外に書道の魅力を発信することで、国内においても書道に魅力を感じる人が増えると宇山氏は予想しています。外国人が書道を習うための課題を、技術(書き方がわからない)・地理(教室がない)・言語(日本語はわからない)という3つに定め、それらを解決するのがオンラインラーニングサービス「Show道先生」です。「Show道先生」のサービスでは、書道の先生と海外ユーザーがそれぞれ登録。ユーザーは動画で書道を学べ、作品を提出すると先生からの添削がもらえます。ユーザーはチャットで先生とコミュニケーションが取れ、漢字の意味も知ることができ、将来的には師範の資格も取れるようになります。既存サービスとの相違点としては、双方向にコミュニケーションができることや、多彩なコンテンツから個人に合わせた書道を学べること。2022年頃にはAI化して、即座対応することも視野に入れているそうです。審査員からは「外国人が書道を始める動機についての検証は?」という質問があり、宇山氏は「要検討の上、外国人が気軽に楽しめるコンテンツも用意したい」との回答がありました。
⑧Tigerエコボトルシステム
チーム名:タイガー魔法瓶株式会社
登壇者:和泉修壮氏
タイガー魔法瓶株式会社の和泉氏は、世界で最も普及しているペットボトルのリサイクル率が減少することを危惧し、自社のコア技術である魔法瓶技術を応用することでリユース&リサイクルが可能な樹脂製魔法瓶を用いた「Tigerエコボトルシステム」を考案しました。Tigerエコボトルシステムの仕組みは、まずペットボトルを原料としたTigerエコボトルを製造。消費者はリユースして使用し、破損した物や不要の場合は回収ボックスへ投函し、また新たなエコボトルとして生まれ変わる循環を作るものです。容器の構造は特許出願済みで、広口で飲みやすく、二重構造なので適温を保ち、結露する心配もありません。将来的にはQRコードを添付することで、アプリによる会員サービスも展開する予定です。リユース換算においては、Tigerエコボトル1本はペットボトル50本分に相当し、世界のペットボトルによるゴミ問題にも貢献できると、和泉氏は説明されました。審査員からの「どんなパートナー企業を求めているのか?」という問いに対して、和泉氏は「ドリンクメーカーやカフェをイメージしており、それらの企業にはTigerエコボトルにより継続して来店するユーザー獲得のメリットがある」と回答されました。
⑨貸し農園×IoTベジリン(ベジタブルリンクス)
チーム名:アイデアル株式会社
登壇者:田中哲也氏
“貸し農園と利用者をIoTでより身近に”をコンセプトとした「ベジリン」。現在の一般的な貸し農園のビジネスモデルは、農園オーナーが農園管理者と土地の賃貸契約を締結し、ユーザーは農園管理者に利用料を支払うことで農業体験を楽しむというものです。それに加えて、日々の共用部の管理や栽培代行、備品の在庫管理、ユーザーへの農業アドバイスを行う菜園アドバイザーが存在しています。「ベジリン」はIoT技術を駆使することで、これまで菜園アドバイザーが行っていた備品管理や利用者の管理などを代行し、作業負担を軽減。さらに、ユーザーにはセンサーを利用した育成状態を伝えることで、農作物の管理やしやすくなるメリットなどが生まれます。また「ベジリン」を通じて、アドバイザーとユーザー間での会話が容易となり、満足度が高まるメリットもあります。審査員からの質疑として「農園に設置されたセンサーでの測定データと利用方法」の質問があり、田中氏は回答として「気温、湿度、土中水分量を測定し、アドバイザーや管理者へ通知。その後、データを参考にアドバイザーからユーザーへ的確な農園アドバイスができるようになる」と話されました。
⑩IoTモビリティANSHiN
チーム名:立命館大学EDGE SPROUT
登壇者:戸簾隼人氏
“安心して手軽にモビリティを利用する社会の実現”を目指して、“安全な自転車・システムの開発と提供”を行う、チーム「立命館大学EDGE SPROUT」。7~19歳の子供による自転車の事故率が高いことに注目し、その事故原因である不注意や操作の不測を解決するためのIoTによるアシストを提案。さらに、IoTによって蓄積されたデータを分析することで、事故原因そのものを無くすことを目指しています。根幹となるサービス「IoTモビリティANSHiN」では、自転車に付属するギアグリップとブレーキアシストを提供。実際の利用シーンでは操縦者の指がハンドルから離れる瞬間を感知し、ブレーキアシストで減速を行い、それらの情報はクラウド上へアップされる仕組みです。また将来的にはデータプラットフォームとしての役割を担うことで、事故情報を元にした危険予測や危険箇所のマッピング、子供の居場所を検知するペアレンタルコントロールなどにも応用することも考えられています。
~Part3へ続く~