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2023年08月22日実証実験

【実証実験インタビュー】5G通信を活用した空撮によるスポーツ支援プラットフォーム「スカイコーチ」の検証

実施主体
株式会社RedDotDrone Japan

実証実験内容
5G通信を活用した空撮によるスポーツ支援プラットフォーム「スカイコーチ」の検証

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2022年12月から2023年3月にかけて、株式会社RedDotDrone Japanによる「5G通信を活用した空撮によるスポーツ支援プラットフォーム『SkyCoach(スカイコーチ)』の検証」が、大阪・舞洲のセレッソ大阪舞洲グラウンドにて実施されています。今回は、株式会社RedDotDrone Japanの代表である三浦望氏に、実証実験の概要や目的についてお聞きしました。

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○まず、株式会社RedDotDrone Japanの事業内容について教えてください

当社は、2017年にシンガポールで『RedDotDrone』を法人設立し、日本では2019年より『株式会社 RedDotDrone Japan』として本格的に事業展開している企業です。主な事業内容としては、遠隔操縦、自律制御、自動制御、複数台のドローン協調制御などのドローンソフトウエア技術を活用して、観光・スポーツ空撮・スポーツ運営システムの提供・フィールドスポーツ分析支援サービスなどのサービスソリューションを提供しています。

現在の主力事業は「ドローン遠隔旅行」をキーワードとした観光分野です。当社が独自開発したソフトウエアによって、インターネット回線を介してドローンの遠隔操縦が可能となりますので、例えば大阪に居ながらにして、地球の裏側であるブラジルにあるドローンを飛ばすこともできます。「ドローン遠隔旅行」については実証実験やサービス利用の実績もあります。東京や兵庫の施設などでは、高齢者や身障者の方々に利用していただき、奥多摩や八丈島などの上空を遠隔旅行体験してもらい、とても良い評価をもらっています。

○今回の実証実験で利用する『SkyCoach(スカイコーチ)』とは、どんなものですか?

SkyCoachは、サッカー・ラグビー・アメフトなどのフィールドスポーツにおいて、トレーニングや試合風景などを、安全で簡単に撮影するためのドローン制御アプリです。

通常ドローン操縦となると、多くの人がスティック状のコントローラーをイメージされるかと思いますが、SkyCoachではスマートフォン画面による指先だけで操縦が可能となります。またSkyCoachによって制御されたドローンは、誤ってフィールドに入ることはありませんし、グラウンド外へ飛び出すこともなく、撮影ポイントであるタッチラインから外れることもありません。

これらの特長によって、パイロット資格のない人やドローン操縦に不慣れ人でも、簡単に飛ばすことが可能で、鳥の目のような上空からの映像で選手の動きを見ることができます。

またサービスの付加価値として、撮影・録画した映像内のデータビジュアライゼーションを行うことで、選手の立ち位置や距離感などを視覚化・数値化することも可能です。それらのデータを分析することで、選手個々のレベルアップやチーム全体の戦術理解度アップなどにも役立つサービスとなっています。

○今回の実証実験は、どのような目的で実施していますか?

まずSkyCoachの検証として、実証実験の環境下において基本的な機能の動作状況を確認します。ドローンを飛行する上での電波干渉や受信GPS衛生数などのチェックを行い、安全に飛行し的確な位置から選手たちの動きを撮影できるかも確認します。また可能であれば、セレッソ大阪様のコーチ陣にご協力いただき、実際にSkyCoachでドローン操縦を体験してもらう予定です。利用者としての意見やフィードバックをもらうことで、操作や利用における改善点が見つけたいと考えています。

加えて、5G通信を利用した『遠隔操縦』での利用も検証予定です。5G環境における動作や映像の遅延状況の確認や、通信規格の違いによる注意点などについても検証していきます。

○現状での進捗状況を教えてください。※取材時:2023年2月上旬

現状では実際に撮影予定のセレッソ大阪舞洲グラウンドにて、試験飛行などを3回実施しました。ドローンの制御状態や5Gの通信状況などを確認したのですが、概ね問題なく進んでいます。2023年3月に実施予定の練習試合のタイミングで1~2回、撮影飛行をさせていただく予定です。ドローン撮影に関しては天候に左右されるところがあるので、そこだけが心配ですね。

○『SkyCoach』のサービスの強みとなるのは、どのようなところですか?

当社としては、ドローンが誰でも簡単に制御できる『操作性』だと考えていますが、撮影した映像をデータ化して分析できることも、大きな強みです。この分析方法に関しては、名古屋大学と産学連携で共同研究しています。

例えば、ゴールが決まったという結果に対して、得点をした選手だけでなく、そこまでに至った経緯の中で関わった選手たちの貢献度を定量化(数値化)して評価することも可能なのです。1つのゴールに対して、得点者・アシスト・おとりの動きをした人などが、それぞれどれくらいの割合で貢献したのかが数値でわかるようになると、選手たちの動き方や考え方も変わってくるのではないかと思います。

○今後の展開について、教えてください。

現在『SkyCoach』に関しては、なるべく多くの現場の方々に利用してもらいフィードバックを得て、製品精度を高めている段階です。最終的には街のサッカークラブや学校などのコンシューマに利用してもらいたい狙いですが、コスト面や法規制等の問題もあり、まだまだ難しいと思います。

それらの理由から、まずはプロクラブでの導入・利用を促進していく考えです。サッカー強豪国のクラブチームでは、ドローンによる撮影、データ収集は当たり前のように実施されていることもあるので、興味を持ってくれるクラブは多くあると思っています。

取材・文 中西 義富(Office Vinculo)

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