「メイカーズバザール大阪Vol.2」
2015年6月27日、28日は大阪南港ATC ITM棟3階において、メイカーズバザール大阪VOL.2を開催しました。メイカーズバザール大阪VOL.2は、自らデジタルでオリジナルに製作した「もの」を発表する関西のメイカーズ・イベント。イメディオは実行委員会としてこのイベントを主催し、イメディオ入居企業も出展しました。
■メイカーズバザールの様子
今回は広大なワンフロアを会場とし、会場内は「電子工作エリア」「MAKER'Sエリア」「FabLabエリア」「3Dエリア」「セミナー会場」「ワークショップ会場」と区分けました。これにより多くの来場者が会場全体を回遊する形になり、イベントがさらに盛り上がりました。
来場者も昨年10月に行った第1回の2倍弱、2879名となり、立ち止まる人が途絶えないブースや実体験するために順番待ちの列ができたブースも数多くありました。特に未来のメイカーズとなる子どもたちの来場が多かったのは、このイベントの未来の可能性を示唆するものだと言えるでしょう。
イメディオ入居企業である『reeddesign』代表の是枝氏は前回に引き続いての出展です。今回は3Dプリンタで印刷したゴム鉄砲やiPhoneスタンドなどを制作、販売。是枝氏が講師を務める大阪芸術大学の学生も参加し、3Dスキャナーから胸像をその場で3Dプリントできるコーナーでも、3Dプリンターが絶えず稼動し、昨年以上の賑わいを見せていました。
また、もう一つの入居企業の出展者『Mountain Gollila』は、体感パズルゲーム「Tegoris(テゴリス)」を出展。体を動かしブロックを変化させてラインを消すゲームは、高得点で景品がもらえるとあって、順番待ちの行列が絶えることなく、子どもたちにも大人気でした。
■セミナー
会場内に設けたセミナー会場では、2日間にわたってさまざまなセミナーを開催しました。
27日には、一般社団法人 ソーシャル・デザイン代表の長沼博之氏による「日本のメイカーズの近未来 ~パラレルキャリアで広がる活動領域~」と題したセミナーを開催。用意した70の座席は、セミナーの開始早々満席となりました。
長沼氏はセミナーの中で、経済システムの進化、ビジネスモデルのパラダイムシフト、モノづくりの構造変化、そして働き方などが大きく変革していて、この経験は明治維新以来の大変革だということを説明していました。さらに、この大変革によって企業のあり方、ワークスタイル、そして私たちの生活そのものが変わっていくと言います。その理由を世界の最先端事例を引き合いに、体系的に解説しておられました。
セミナーは長沼氏の自己紹介から始まり、社会のビジネスモデルのパラダイムシフトについてどのように変化していくかの説明に進んでいきました。
1)コストゼロ社会の到来
あらゆるコストがゼロに近づいています。従来の社会では、取引コスト、設備投資コスト、在庫コスト、物流コスト、限界コストといった、企業が大企業化することでのみ削減できていたコストが存在していました。しかしながら、さまざまな構造変化により、個人のメイカーズでもこれらの機能やサービスを限りなくゼロに近いコストで手に入れることができるようになったと言います。世界中にはそうしたメリットを最大限享受できるサービスが多数展開されており、具体的なサービス紹介を交えながら解説していました。
2)使用価値にアクセスする時代
これからの時代は、余っているものを共有することが簡単にできる時代になりつつあります。それが広まっていくことで、人々は所有するものが減って必要最低限のものしか持たなくなり、必要な時に都度共有する時代に突入していくとのことでした。「ものの価値」から「使用する価値」に対価を払うようになる時代が到来するという予測でした。
3)関係性の再構築
世界中で顧客や取引先との関係を再構築する企業が増えているそうです。収益にならない無料修理を積極的に請け負うパタゴニアや、コンテンツの面白さだけではなく、コンテンツを見る人との関係性までをビジネスの中に取り込んだAKB48など、これまでにはない斬新な関係を顧客と構築しようとするビジネスが始まっています。マーケットを獲得するという概念から、人々の一人ひとりの心を掴むことを目指した取り組みやビジネス手法が主体になっていくだろう、とのことでした。
4)働き方の変化
クラウドソーシングやクラウドファウンディングがビジネスの中心に据えられるようになり、企業は考えたり、企画する業務のみを行い、事務作業やルーチン作業はより安価な労働力をアウトソーシングによって調達するスタイルが加速度的に増えていくと推測していました。同時に、クラウドファウンディングの拡大により、個人でも資金調達することが可能になり、金融システムそのものも大変革の時代に入っていくと推測していました。また、これが一人メイカーズを増加させるきっかけになるとの話もありました。
長沼氏からは、これからは時代の変化のスピードがますます速くなっていく中で、自分自身の職人的スキルをいち早く発見し、そのスキルを人生を賭けて長期間にわたってブランディングし続けることが必要だと語り、今回のセミナーは終了しました。
次回のメイカーズバザール大阪は、11月頃に開催予定です。決まり次第、イメディオのメールマガジンやfacebookにて案内します。次回開催の際も、ぜひご参加ください!