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2025年08月26日その他

テックシーカー ハッカソン2025 レポート

好評につき今年度も開催されたコミュニティイベント「テックシーカー2025」。
本イベントは、テクノロジー・電子工作・プログラミングなどに興味関心を持つ学生や社会人、そしてベテラン技術者などが一堂に介して、さまざまな垣根を超えてテクノロジーを探求するイベントです。

2025年度のテーマは『AIで魔法の道具を作ろう!』。
「AI×魔法」をテーマに、参加者たちは柔軟な発想で電子工作に取り組みました。約1ヶ月という期間の中で、AIを搭載した魔法のような作品が誕生しました。

また本イベントは大きく2回に分かれているのが特徴です。
電子工作技術や、プログラミングを通じて、参加者が楽しみながらハードウェア開発、アプリ開発に取り組み新しいイノベーション創出につなげる「テックシーカー ハッカソン」。そして、先端技術を活用したデジタルものづくり作品が集まり、触れて体験できる場となる「テックシーカー コレクション」の2つで構成されています。

今回のレポートでは、7/26(土)7/27(日)に実施された「テックシーカー ハッカソン」から7/26(土)のDay1の模様をお伝えいたします。

7/26(土)
テックシーカーハッカソン Day1

【Day1 主なスケジュール】
11:00 参加者入場、受付
12:00 オープニング、主催挨拶、趣旨説明
12:15 アイスブレイク
12:35 進行説明
12:45 「AIで魔法の道具を作ろう!」アイデア出し
13:30 テクニカルインプット(1サービスあたり5-7分)
14:00 アイデア出しをしながら、チームビルディング
15:30 チームアイディエーション1回目:ブースを回ってテクニカルサポート相談
16:30 シリコンハウスからの中継  -こんなデバイスあるよ紹介-
17:00 チームアイディエーション2回目
18:00 作るもの発表
18:45 クロージング、解散
19:00 任意参加:懇親会

※当日、一部時間変更されたスケジュールもありました

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■アイスブレイク タイム
主催挨拶、ハッカソンの趣旨説明に続いて行われたのがアイスブレイクです。テックシーカーハッカソンには学校のグループ単位で参加している学生さんもいれば、個人で参加している社会人の方も多くいます。それらの参加者がスムーズにアイデアを出し合えるように、まずは同じテーブルに座った人同士で「知っている魔法」を出し合い、話を弾ませました。漫画、アニメ、小説、SFなど、さまざまな角度からそれぞれが印象に残っている魔法について語ることで、AI×魔法につながるアイデアの種を探す時間となりました。

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■アイデア出し タイム
アイデア出しの時間は、グループ参加・個人参加を問わず、「AIで魔法の道具を作ろう!」をテーマに、一人1アイデアを提案する流れです。アイデア出しの手法としては、まずアイスブレイクで出たネタなどを元に、作ってみたい魔法の道具を想起し、参加メンバー全体で200個以上を目標にアウトプットしてもらいました。これらのアウトプット情報は、参加者全員で共有しているスプレッドシートに、各自が書き込んでいき、リアルタイムで増えていきます。

そして、このアイデア出しの後に行われるスポンサー企業からの「テクニカルインプット」情報を参考にして、実現できそうな魔法の道具をイメージしアイデアとして提案する手法で行いました。

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■テクニカルインプット
テクニカルインプットの時間では、本イベントをスポンサードしていただいている企業から、テクニカルサポートの内容をご説明いただきました。

・共立電子産業株式会社
今年度もゴールドスポンサーを務めていただいた「共立電子産業株式会社」。大阪・日本橋に店舗を構える同社からは、電子工作に必要なパーツを購入するための特別チケット(参加者一人当たり5,000円分)をご提供いただきました。さらにAIに必要不可欠なエヌビディア製品などをテックシーカー参加者向けに特別価格でご提供いただくなどの大盤振る舞い。参加者からは大きな拍手が上がっていました。

・SPRESENSE(ソニーセミコンダクタソリューションズ)
こちらも昨年に引き続きスポンサーを務めていただいており、参加者からも人気のSPRESENSE。SPRESENSEは、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社が開発したIoT用ボードコンピュータです。SPRESENSEが、エッジAI【AI搭載した端末(エッジデバイス)で直接データ処理を行う技術】として活用可能なことや、GUIでAI生成も行えることなどをご説明いただき、未経験者でも簡単に使えるように解説動画や書籍のご案内もいただきました。

・IIJ(インターネットイニシアティブ)
IIJは今年度初めてスポンサーとして参加していただきました。個人向けインターネットサービス「IIJmio」などを展開している同社のSIMは、自動販売機や子どもの見守り端末、監視カメラ、レンタルチャージャーなど、現在多くの場面で使用されています。IoTにおけるデータ送受信はまさに肝となる部分で、同社からはSIMカード、開発用IoTボードなどをご提供いただきました。また同社の製品を使った楽しいアイデア作品には、豪華賞品を用意しているとの発表に、参加者からもひときわ大きなどよめきがありました!

・エックスサーバー
急遽、壇上にてテクニカルインプットを実施していただいたエックスサーバーも、今年度初めてスポンサーを務めていただいた企業です。エックスサーバーは大阪に本社を置くサーバー企業で、レンタルサーバーやVPS(仮想)サーバーなどのサービスを展開しています。今回のハッカソンにおいては、そのVPSサーバーのご提供をいただきました。同社からも優秀作品にはVPSサーバーの1年間無償利用権が贈呈されるとのことで、参加者から拍手が上がっていました。

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■チームビルディング タイム
アイデア出しの時間で列挙した内容を、それぞれが一人1アイデアに絞って清書します。すべてのアイデアがスプレッドシートに並べられ、そこからグループ参加のチームは、チーム内で実施する1アイデアを選抜。個人参加者の場合は、各自が良いと思ったアイデアに投票する人気投票を実施して、それぞれ人気アイデアの考案者を軸としたチームが17チーム誕生しました。

■チームインタビュー

チーム名/ビーバーズ・ハイブ
昨年も参加いただいたモノづくりサークルの集まりから、今年も選りすぐりの社会人と学生の4名で参加してくれた「ビーバーズ・ハイブ」の皆さん。毎年センスあふれる作品を出品するチームですが、今年は日常でも起こる些細な争いに審判を下す『魔法の天秤』を作るとのこと。LLMに接続されたビーバー審判官が、双方の意見をマイクで聞き分け、それぞれの意見の優劣をAIにて審判するというもので、可愛らしいビーバーのぬいぐるみがどんな審判を下すのか楽しみです。

チーム名/ITクリエイト部
コンピュータ専門学校の部活メンバーで参加してくれた「ITクリエイト部」の皆さん。普段はソフトウェア分野の勉強が中心で、ハードウェアの機器や部材を触るのは初めてのメンバーも多く、初日の段階ではいろいろと試行錯誤を重ねている状態でした。まだまだアイデア段階ですが、AIを使って音や光が出せるような魔法の道具を作りたいとのこと。1ヶ月後、どのような作品に仕上がっているのか楽しみに待ちたいと思います。

チーム名/ねこごろ堂
社会人3名、学生2名で個人参加者が集まって結成されたチーム「ねこごろ堂」。猫が出す“ゴロゴロ”の音を再現して世界中をリラックスさせる魔法を起こしたい、というひとりの参加者のアイデアに賛同したメンバーが集まっています。どのような機器構成で実現するのかは絶賛検討中で、最終的には音だけでなく、ゴロゴロ音を出すときの触感の再現も目指すとのことでした。

チーム名/魔法少女だれも☆カレモ
個人参加の4名で構成された「魔法少女だれも☆カレモ」の皆さん。魔法といえば、誰もが憧れる“魔法少女になりたい!”を実現させるべく出されたアイデア「夢の魔法少女体験」に賛同したメンバーたちです。作るものは魔法少女に必須のアイテムである「ステッキ・衣装・お助けキャラ」の3点セットで、ステッキを振ることで技や魔法陣が出せて、お助けキャラとは人の言葉で会話ができるなど、細かな設定まで話し合われており、初日の個人参加チームとしてはかなりの完成度でした。

■デジットからの中継タイム
こちらも毎年恒例となっているスポンサーである共立電子産業株式会社の店舗・シリコンハウスに赴き、現地から取扱商品をビデオ通話にて紹介するシリコンハウスからの中継タイム。今回も参加者には共立電子産業株式会社から一人5,000円分のパーツ購入券が進呈され、翌日のDay2にはそれぞれで必要な部品を買い出しに出かける予定。昨年、この時間に紹介されたUFOキャッチャーのパーツは予想以上の売れ行きだったそうで、今年も掘り出し物の紹介に注目が集まっていました。

■制作物の発表
各チームの代表者が壇上にて制作予定の工作物について発表。どのチームもアイデアやネーミングにこだわりをみせていたこともあり、完成品への期待は否が応なしに膨らみます。これから約1ヶ月後の作品発表&表彰式までの期間、17チームそれぞれが各自で予定を調整していきながら、開発を進めていきます。

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□記者あとがき
「テックシーカー ハッカソン」のイベント取材は3年連続となりますが、今年も老若男女を問わずテクノロジーや電子工作に非常に高い関心を持つ人々が集まっている印象でした。Day1の最初こそ、少し余所余所しさや緊張感が漂いますが、アイスブレイクを経て、アイデア出しの時間くらいになると、やはりモノづくりに興味がある人同士だけに自然と会話も弾んできます。それぞれのアイデアや提案に笑顔を話し合う様子を見ていると、この場からまったく新しいモノや考えが生まれてくる予感を感じます。8/23(土)の「テックシーカーハッカソン 作品発表&表彰式」に続いて、10/25(土)・26(日)の「テックシーカーコレクション」となります。どんな作品が生まれたのか楽しみでもありますし、多くの皆さんにも見てもらえる機会でもあるので、ぜひ会場で体験してもらえればと思います。

取材・文 中西 義富(Office Vinculo)

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