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2020年03月27日実証実験

【実証実験インタビュー】産業用小型ドローンによる非GPS環境下における設備点検の実証実験

 

実施主体
間口ジェネラルサービス株式会社
https://www.maguchi.co.jp/group/mgs/

実証実験名
産業用小型ドローンによる非GPS環境下における設備点検の実証実験

2019年10月8日(火)、10月10日(木)の2日間に分けて、間口ジェネラルサービス株式会社により『産業用小型ドローンによる非GPS環境下における設備点検の実証実験』が、大阪舞洲の「おおきにアリーナ舞洲」の天井裏と空調機械室内で実施されました。今回は実証実験の概要や感想を間口ジェネラルサービス株式会社のドローン事業部・部長の上山良彦氏にお話していただきました。

 

#まずドローン事業を始めたきっかけを教えてください
当社が所属する間口グループは、間口ホールディングス株式会社のもと、23社のグループ会社で構成されている総合物流企業です。創業は1901年で、大阪港を基盤に港湾運送の専業者として船内荷役業・沿岸荷役業・倉庫業を営んできました。その後は、スーパーマーケット等の流通業界において物流システムを構築し、現在は物流センターから店舗、ご家庭への配送まで業務を拡大しております。この総合物流事業の中で、私たち間口ジェネラルサービス株式会社は、主に運送用トラックの整備メンテナンス事業を担っております。

このような事業展開の中で、近年、ホールディングス内のいくつかの企業によって、スタートアップ事業が計画され、間口ジェネラルサービス株式会社も参画しています。その際に、新たな事業モデルの構築で参考となったのが、2017年に弊社取締役がドバイで視察した『ドローン事業』です。特に業務用ドローンに大きな可能性を感じ、2018年2月には産業用ドローン操縦士養成スクール「Sky Frog(スカイフロッグ)」を開校しました。その後も、大学発ベンチャー企業と協業して開発された「水中ドローン」や、今回の実験で使用した非GPS環境下での「狭小空間ドローン」など、特殊性の高いドローンを取り扱っています。

 

#今回実施した『産業用小型ドローンによる非GPS環境下における設備点検の実証実験』は、どのような実験だったのですか?
本実験は、小型無人航空機(ドローン)を活用し、人が入ることが難しい構造物内の検査をすることを目的に実施しました。ドローンに搭載されたカメラ映像を元にパイロットが操縦し、検証場所である「おおきにアリーナ舞洲」の天井裏と空調機械室内を動画撮影しています。また撮影動画は、その後、映像・画像解析を行い、実際の現場における利活用の可能性を検証しました。

本実験で使用したドローンは、当社と業務提携する株式会社Liberaware(以下リベラウェア)が開発・製造した屋内狭小空間点検用ドローン「IBIS(以下アイビス)」です。アイビスにはさまざまな特許申請技術が装備されており、なかでも非GPS環境下において機体を安定飛行させるための技術には特筆すべきものがあります。また同機は高感度イメージセンサーと高配光LEDを搭載し、照明のない暗所においても飛行可能です。

 

#実証実験の検証結果は、どのようなものでしたか?
実証実験は2019年10月8日(火)と2019年10月10日(木)の2日間に分けて、実施しました。操縦は繊細で高度な技術が必要な特殊ドローンのため、リベラウェアのエンジニアが担当し、アイビスのビジネス活用を検討している企業担当者の方々が見学に訪れる中で行いました。

まず実験結果として、ドローンに搭載したカメラ映像でアイビスを操縦し、天井裏や空調機械室内を撮影するという第一目的は、問題なく達成しています。特に、天井裏は人の入ることが困難な狭小空間でありながらも安定飛行を実現し、トラスが入り組んだ複雑な結合部分などを映像で確認することもできました。加えて、メーターなどの計器類の前を飛行することで、計器に表示される数値をその場で目視確認でき、設備の点検・調査などにおいて、大きな利点となることも示しています。

現在は第二の目的である、撮影動画のAIによる映像・画像解析を実施中です。方法としては、撮影した映像や画像から点群データを作成し、各地点の距離情報を割り出すことで、検査対象の正確な位置や状態を知るという方法ですが、撮影場所や対象物によっては影が発生するので正確な情報が得られないという課題があります。この課題を解消するために、現在、各方面に協力を仰ぎながら、さまざまな調査を行っているところです。


 

#今後の展開を教えてください
今後は、今回の実証実験の結果を受けて、本格的に狭小空間ドローンによる点検・調査業務を展開していきたいと考えています。主な対象事例としては、煙突・配管・ボイラーなどの内部やエレベーター、立体駐車場、天井裏、地下、高速道路の箱桁の他、災害現場の内部なども対象としています。また当社としては、点検・調査業務を依頼する企業と、実際の飛行業務を請け負うリベラウェアとをつなぐ窓口の役割だけでなく、実際にアイビスを保有し、自社でもパイロット育成を行い、点検・調査業務を実施する考えです。当社でも点検・調査業務を行うことによって、現場情報のサンプルやトラブルシューティングが集まり、それらを開発元のリベラウェアにフィードバックすることで、さらなる性能の向上に努めていきたいと思っています。

取材・文 中西 義富(Office Vinculo)

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