Menu

Seminar / Report

TOP > マガジン > セミナー・レポート > 3Dプリンター制作トライアル成果報告会 開催報告
2014年03月11日その他

3Dプリンター制作トライアル成果報告会 開催報告

平成25年9月~平成26年1月にかけて
主としてデジタルメディア関連のクリエイターに対して
3Dプリンターを使ったビジネスをプランし出力にトライする募集を実施した。

6者の応募があり審査の結果4者がトライアルに参加し制作を実施した。
その制作の成果について報告会を開催し、制作者が制作過程、ノウハウ、
評価などについて発表した。



発表者1.小濱里子氏 有限会社トライアード
テーマ「建築業界における3Dプリンターの活用」

P1010245P1010313

戸建住宅の設計プレゼンテーションに3DCGパースが使用されることが多いが
3Dプリンターを活用することで時間・人件費をカットしながら、顧客ニーズに応えられるものが出力できるかを試すことが今回のテーマであった。
 3Dプリンターで戸建住宅の出力を実施した。建築図面と3D用データは根本的に違うので、シームレスで活用することは難しい。
3D用データの入力は時間がかかるため、写真から3Dデータに変換できるようになれば
有効利用できる可能性があるが、現状では品質、作業効率性の面での課題が残る状況。
 

発表者2.安達 隆氏
テーマ「デジタルジオラマ」

P1010248P1010304

3Dプリンターで制作したジオラマづくりを試してみる。
まずは、3Dプリンターで出力することの難易度が高いと予測される自然物をいかに3Dプリンターの出力により表現できるかを試してみる。
結果としてバラの花をモデルとして、単純に花びらを重ねただけのデータでは不正要素が多く、うまく印刷できなかった。
再度ソリッドモデルデータで挑戦するも花びらが外側に広がる部分で不具合が発生したため、バラの花をうまく出力するまでには至らなかった。
数回にわたるトライアルにより出力ができない形状について分析し、その際の留意点について発表した。
今回出力に使用した3Dプリンターの特性や仕様による制約もあり、それらを把握した上でモデルを制作する工夫が必要との提言をした。
 

発表者3.森山弘樹氏 有限会社トイメディアデザイン
テーマ「小ロット生産する鉄道模型」

P1010256P1010311

今回のトライアル制作の狙いとしてはマニアを納得させる品質の模型が制作できるか、またコスト面での採算性の検証することだ。 
3Dプリンターからの出力された成果物は、平面性や、歪みについては かなり正確だが、それでも歪みは発生する。またABS樹脂の柔らかさによる変形が局所に起こる。
それを踏まえても自由な形状を出力できるのでマニアを唸らせることは可能なレベル。
加えてコスト面でも、市販キット製品と比較して優位性がある。
まずはプラモデルファンに鉄道模型を勧める手段として広められる可能性がある。
コスト的に計算しても現状金属などのモデルで販売されている物の金額からすると十分コストメリットがあるものが3Dプリンターにより実現できる可能性がある。
 

発表者4.中村古都子氏 PEAS
テーマ「3Dプリンター出力オブジェクトによる立体アニメーション」

P1010261P1010159

3Dプリンターの使用は、欧米では台詞と口の動きを合わせる部分などで実用化されているが、我が国ではまだ少数。3Dデータの正確さと実物の存在感の両方を併せ持つ映像作りにトライする。
結果として3Dプリンターの出力オブジェクトの中身が中空であり加工が難しいこと、出力時間が1体4時間かかること、などがわかった。
アニメーション分野で使用する3Dデータと出力用データが違うことなどが、アニメーション制作する際の課題となる。3Dプリンターで出力する人形は、手や足の部分がうまく出力できないことが発生し、サポート材をふやし形状が維持できるように工夫した。
これらを踏まえ、出力オブジェクトの使いどころを見極めることと、モデリング製作技術を向上することによりアニメーション展開できる可能性が見えてきた。
発表者の制作アニメーション:

 

P1010269P1010281
各制作者の発表の後、今回技術サポートをお願いした株式会社テクノソリューションズ 姫川氏から講評を伺った。

その後、発表者と参加者が情報交換できる交流会を開催。
発表者らの周りには、さらに詳しい話に耳を傾ける熱心な参加者の姿があり、3Dプリンターの活用について積極的に情報交換できる場となった。
 

開催日:平成26年3月7日(金)
    午後5時~午後6時40分(成果発表会)
    午後6時40分~午後7時40分(交流会)
開催場所:イメディオ 講義室
参加者:40名(成果発表会)32名(交流会)

この記事を共有する