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2025年03月20日

「未来社会の実証実験展」イベントレポート 咲洲テック・ラボ・プログラム 成果発表 2025年3月15日(土)・16日(日)

 2025年3月15日(土)・16日(日)の2日間にわたり、大阪・咲洲のATC特設会場にて、ミライのくらしを体験する「未来社会の実証実験展」が、ソフト産業プラザ TEQSの主催で開催されました。

 本イベントは、実証実験フィールドに見立てた会場に、新しいテクノロジーを体験型展示することで、未来社会のテクノロジーとビジネスの在り方を観て知って感じてもらうというものです。

 本イベントで未来社会をテーマとした最新テクノロジーの体験型展示を用意してくれたのが、“新しい領域で社会実装に挑戦する企業を応援するプログラム『咲洲テック・ラボ・プログラム』へ2024年度に参加してくれた14社と、昨年度も参加いただいた12社の計26社で、この中の16社は大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオンの「リボーンチャレンジ」で出展を予定しています。

各企業にとっては『咲洲テック・ラボ・プログラム』の成果発表の場でもあり、多くの一般ユーザーに自分たちが考える未来社会のテクノロジーを体験してもらう場でもありました。


①株式会社C&T
AI同時通訳サービス「UniTrans」

株式会社C&Tが開発した『UniTrans(ユニトランス)』は、対面・リモート・電話など、さまざまなシーンに対応する革新的なAI同時通訳サービスです。最大の特徴は、一般的な翻訳デバイスのように話し終わるたびにボタンを押す必要がなく、一度起動すれば、会話をシームレスかつ連続的に通訳してくれる点です。まるで自然な会話のように、言語の壁を意識せずにコミュニケーションを取ることができます。

さらに、発話内容を複数のデバイスに異なる言語で同時に届ける機能も搭載。一人が話した内容を、聞き手の言語に合わせてリアルタイムで翻訳し、それぞれの端末に届けることも可能です。翻訳と音声認識にはAIを活用しており、日本語と英語の会話の最中に中国語が混ざっても、AIが自動的に認識して翻訳してくれます。

このような先進的なサービスが誕生した背景には、同社代表取締役・瀧澤清美氏の存在があります。瀧澤氏は医療系の研究者であり、全国医療学会の理事や国際医療分科会の会長を務めていることから、医療現場での実体験を踏まえ「医療現場では衛生的で円滑なコミュニケーションを実現するツールが必要」との思いを抱き、このサービスを開発しました。すでにいくつかの現場では実証実験段階ながらも導入実績があり、今後さらに導入箇所を拡大していく方針で、大阪・関西万博にも6/17〜6/23の期間で大阪ヘルスケアパビリオンにて出展を予定しています。


②株式会社 Qualiagram
AI接客アバター「MANAMI」

接客支援業務を手がける株式会社 Qualiagramが開発したAI接客アバター「MANAMI」は、店舗・企業におけるセールス力の向上を目的に設計された、3Dアバター型接客支援AIです。大規模言語モデル(LLM)を搭載し、状況に応じた自然な会話を実現します。お客様とどのような会話を交わすべきか、どんな情報を提示すべきかをAIが自ら判断し、適切な情報を提供することを目指した次世代オペレーターシステムです。

現状、本システムはロールプレイング型の教育支援ツール「mimik(ミミック)」としてサービス展開中で、mimikでは企業の指導担当者が話すお手本動画をAIが学習し、セールストークの内容や表情などを読み取ります。一方で営業を学びたい新人スタッフはお手本動画を閲覧後、それを真似るカタチでセールストークのロープレを実施。mimikが、お手本との相違点などをスコアリングして、新人スタッフにフィードバックする仕組みです。

さらにオプション機能となる「mimik nest」では、セールストークのポイントを把握したAIがお客様役となり、スタッフがロールプレイングすることで、実際の接客さながらのセルフトレーニングも行えます。お客様役のAIにさまざまなペルソナを設定することも可能ですし、ロープレの回数を重ねるごとに知見が蓄積されるので、より企業の強みやお客様の求めていることが明確になるメリットも生まれます。

AI接客アバター「MANAMI」は、大阪・関西万博の受付スタッフとして6/17〜6/23の期間、活躍予定で、出展される大阪ヘルスケアパビリオンで各展示の見どころを伝える“AI人材”として派遣されます。


③ヴイストン株式会社
「かまって ひろちゃん」とサンドイッチロボ

ヴイストン株式会社の出展ブースでは、コミュニケーションロボットによる癒しと、デジタルサイネージ搭載ロボットによる未来の広告が体験できました。

コミュニケーションロボット「かまって ひろちゃん」は、利用者がひろちゃんをあやすことで喜びなどの、感情変化を見せてくれる癒し系ロボットです。会話機能などはあえてつけず、顔や性別なども設定しないことで、ローコストでありながら万人にそれぞれの想いを持って利用してもらうことを目指しています。
スタッフさんの話によれば「利用者さんによって、時にご自身のお子さんだったりお孫さんだったり、昨日は男の子で、今日は女の子として接する方もいらっしゃいます」とのこと。主に高齢者介護施設向けに展開中で、入居者や認知症の方々にとっては接することで笑顔にする存在でありながら、施設のスタッフさんにも癒しを届ける存在でもあるそうです。現在、TEQSと共同で高齢者施設向けに利用促進を行っており、全国各地へ癒しの輪が徐々に広がっています。

もう一方のサンドイッチロボは、デジタルサイネージにサンドイッチされ、昔懐かしい“サンドイッチマン”を彷彿とさせる昭和の香りが漂うロボットです。こちらは同社が開発したコミュニケーションロボット「Robovie-R4」と、本体を走行させる車輪「メカナムローバーG120A」を組み合わせた試作機で、デジタルサイネージで刻々と掲示内容を変化させながら、イベントやサービスの告知を行うロボットとなっています。

「かまって ひろちゃん」とサンドイッチロボは、大阪・関西万博でも大阪ヘルスケアパビリオンにて6/17〜6/23の期間で出展を予定しています。


④タカバマ株式会社
BeFitter XR/企業の経営指標「ESG」を可視化

持続可能な未来を目指し、先進的なデジタル技術を活用して企業の変革を支援するコンサルティング企業のタカバマ株式会社。同社が開発を手掛けているのが、企業の経営指標の一環であるESG(環境〈Environment〉、社会〈Social〉、ガバナンス〈Governance〉)を可視化するテクノロジーを用いた「BeFitter XR」です。

「BeFitter XR」では、XRグラスを用いて店内や工場内を見渡すと、生産ラインや厨房などが国際的な指標に基づいた形で数値化される様子を体験できます。ESGの可視化を通して、クライアントとなる各企業がESGパフォーマンスの向上を目指すことや、日々の業務の中でどの分野から改善に取り組むことが良いかを、コンサルティングサポートしていきます。

今回の未来社会の実証実験展ではARバージョンにて展示を実施。オフィスや店舗に見立てたシーンの各所をタップすることで、それぞれのESGに関する情報や重要性が視覚的に理解できるものとなっていました。同社も大阪・関西万博では6/17〜6/23の期間において、大阪ヘルスケアパビリオンのリボーンチャレンジブースにて展示を実施予定です。


⑤株式会社BIOTECHWORKS-H2
「ごみZEROプロジェクト」廃棄物から水素へ

株式会社BIOTECHWORKS-H2の展示ブースで紹介されていたのが、廃棄物から水素を生み出す「ごみZEROプロジェクト」です。同社では、廃棄物をゴミではなく資源として捉えて、その資源から水素を生み出す取り組みを行っています。

従来の水素生成プラントでは、廃棄物の分別状態などの問題から安定的かつ効率的に水素を生成することが困難でした。その点において、同社ではAIやIoTデバイスを活用することで、炉に入れる前の廃棄物(資源)を効率的に仕分けし、成分調整するなどの技術を確立しています。また水素生成後の活用方法までをトータルコーディネートするビジネススキームを構築することで、さらなる二酸化炭素の削減やトレーサビリティにも貢献できるプロジェクトとなっています。

今回のイベントでは、それらの取り組みを紹介する動画展示を行うと共に、過去に神戸や横浜の商業施設でも開催したアパレル回収ボックスを設置。来場者が着なくなった洋服を回収し、新たなエネルギーとして生まれ変わらせる取り組みを行っていました。

また同社は現在新たな水素生成プラントを建設中で、2026年に稼働予定。すでに水素事業に関心の高い大手企業などから廃棄する制服などの回収作業を進めています。大阪・関西万博にも7/1〜7/7に出展予定で、そこでは新プラントの模型などを含めて、本プロジェクトの進捗状況をご紹介する予定です


取材・文 中西 義富(Office Vinculo)

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