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2021年11月16日実証実験

【実証実験インタビュー】「シェアリングモバイルバッテリー・サービス」の実証実験

実施主体
Juize Inc.

実証実験名
「シェアリングモバイルバッテリー・サービス」の実証実験

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2020年11月20日(金)から2021年3月31日(水)にかけて、IoT・ロボットビジネス実証実験支援プログラム「AIDOR(アイドル)エクスペリメンテーション」として、米国のスタートアップ企業、Juize Inc.による「シェアリングモバイルバッテリー・サービス」の実証実験を、アジア太平洋トレードセンター(ATC) ITM棟2Fで実施いたしました。今回は、実証実験の目的や感想について、Juize Inc. CEOのナシム・ムアバット氏(オンライン)と日本支社の京田ジョセフ氏に話していただきました。

 

#まず『Juize Inc.』が、どのような会社であるか教えてください

ナシム氏
「Juize Inc.は2016年にアメリカ・ロサンゼルスで立ち上げたスタートアップ企業です。持ち運びできるモノのシェアリングサービスを展開しており、現在は本実証実験でも使用したモバイルバッテリー「Electron to go」がサービスインしています。エコや環境に配慮したサービスを展開することが特徴で、プロジェクトメンバーはアメリカ、日本、中国などで10名がジョインしています」

#今回使用したシェアリングモバイルバッテリー「Electron to go」は、どんな製品・サービスですか?

ナシム氏
「プロダクトは着脱式のシンプルなスマートフォン用モバイルバッテリーです。1台の充電器につき7個のヘキサゴン(六角形)タイプのモバイルバッテリーが配置されており、その未来的なデザイン性も特徴です。今回は床置き式ですが、壁に設置することも可能で、床面積を必要としない拡張性の高さもポイントとなっています。また、ハードウェア主体ではなく管理ソフトウェアから構築することで、設置するオーナーの管理コストの負担が少なくなるように設計されています。エコの観点においても、例えば7個あるモバイルバッテリーの使用頻度の高いものだけを交換することが可能で、無駄なゴミを出さない環境に配慮した製品です」

京田氏
「今回の実証実験ではモバイルバッテリーの利用者に、充電器に掲示されたQRコードを読み取ってもらい、携帯番号を登録してもらいました。その番号にSMSメッセージでURLを送付し、それをクリックすると登録が完了して、バッテリーの無償利用が可能となります。基本的には24時間以内の返却を予定し、超過した場合はSMSで警告メッセージを送信する仕組みです」

#今回の実証実験での目的は、どんなことでしたか?

ナシム氏
「アメリカではすでにサービスインしているので、日本市場でユーザーがどのような反応を示してくれるのかを知ることが目的です。ユーザーが『スムーズに利用できるのか』『どれくらい利用してくれるのか』『どのくらい関心があるのか』などを知りたいと考えました。また、オーナー(今回はATC)にも充電器を設置することで、どの程度の心理的・人的コストが発生するのかを確認したいと思いました」

京田氏
「ATCのような商業施設での実証実験は、今回が初めてです。当社はスタートアップ企業なのでターゲットをセグメントしたサービス展開を図っており、アメリカではほぼ大学生に絞ったマーケティングを行って、すでに30校以上の大学施設で利用されています。しかし新型コロナウィルスなどの影響もあり、他のターゲットへのアプローチも必要と考え、今回の実証実験を行わせていただきました」

#現在までの利用実績や実証実験に対する感想を教えてください

ナシム氏
「QRコードを読み取ったアプリ登録者の94%が、実際にモバイルバッテリーを利用しており、関心の高さは伺えました。さらに利用者のうちの13%は2度目以降も利用されています。この数値は大変興味深く、日本市場でもすでにサンプリングを開始しているコワーキング施設や従業員向けカフェなどでは2度目以降の再利用が高いのに対して、ATCのような商業施設では再利用率が低いことが検証されました。またATCでは週平均の利用頻度を算出すると、週末の利用率が極めて高く、イベントや催事などの開催によっても利用率が大きく変化することがわかりました」

京田氏
「アメリカでは利用者にクレジットカード情報を登録してもらっていますが、今回は無償でのサービス提供で、それは行っていません。そのような場合、モバイルバッテリーが返却されない可能性もあるのですが、ATCにおいては返却率が100%で、スタッフ全員驚いています。また、無償で利用できる代わりとして、年齢・性別・モバイルバッテリーに関するアンケートに協力いただいており、これらを通じて有益な情報が収集できています」

#今後の展開について、どのように考えていますか?

ナシム氏
「マネタイズとしては2つの展開を考えています。1つはアメリカと同様に、大学や店舗に充電器を設置してエンドユーザーに利用料金を課金してもらう仕組みです。実機購入も検討しますが、基本的にはサブスクモデルのサービスプランを施設へ提供出来ればと思います。そして、もう1つは公共施設や商業施設などのオーナーにサービス(充電器・システム)を購入してもらい、エンドユーザーへのサービスとして活用してもらうBtoB向けの展開も考えています。どちらにしてもプロダクトは完成しているので、今後は販路の拡大や提携先の開拓に力を注いでいきます」

京田氏
「日本市場では、まず日本法人を立ち上げる予定です。日本でも登録者数が700人以上、利用回数で1,000回以上となり、実績も積み上がってきたので、それらのデータを活用して日本市場で本格展開を目指します。今、求めているのは事業に興味を持っていただける投資家の方々と、通信会社やPOSシステムなどを管理している企業様とのマッチングです。特にPOSシステムを管理・運営している企業様にとっては、私たちのプロダクトが既存顧客の方々へのサービスとして活用いただけると思っています」

取材・文 中西 義富(Office Vinculo)

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