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ところでどうなの?国際共同製作……
2014年11月26日聴講セミナー

記者会見感覚セミナー
ところでどうなの?国際共同製作
韓国の映画監督が日本語で答える
開催レポート

2014年11月21日にイメディオ・海外展開セミナーとして、
『記者会見感覚セミナー「ところでどうなの?国際共同製作」
韓国の監督が日本語で答える』
を開催しました。

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今回のセミナーは、日本の大学に留学経験がある韓国の映画監督チョ・ジンギュ監督を
お招きし、中国と韓国の国際共同製作で映画作品を監督した際の経験を中心に、日本、
韓国、中国の映画事情や他国との
共同製作事情などについて解説し、その上参加者の
質問にも
回答してくれるとあって多くの人が参加して開催されました。
また、今回のセミナーではラシャナル・エンターテイメント代表・松永宏美氏が
モデレーターとして参加し、チョ監督の説明をサポートしました。

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チョ監督は、初監督作品「花嫁はギャングスター」で500万人以上を動員し、当時の韓国映画歴代4位の大ヒットを記録。現在も韓国を代表するヒットメーカーの一人です。現在は、中国大手映画会社と2015年公開を目指して国際共同製作で作品の制作を進行中だとか。
監督は日本映画学校で学んだ後、早稲田大学大学院文学部映画理論科を卒業したこともあり、日本語が話せます。そこで、今回のセミナーは基本的にすべて監督自身が、日本語で説明しながら進行していきました。

まずオープニングは、参加者が参加申込時に送っていた質問に回答する形でスタート。
監督が映画監督になったきっかけなどが質問されました。自身が映画監督になれたのは運が良かったと言っておられましたが、監督になる前に働いていたテレビ局で番組企画を考えていた時、日本での留学時代に見ていたテレビ番組が大いに参考になったそうです。

続いて今回のセミナーでも大きなカギとなる「製作」と「制作」の違いについて説明がありました。「製作」は資金調達の役目を担い、日本では大手映画配給会社などがその役目を担います。「制作」は文字通り映画作品そのものを作り上げる役目となります。

1)日本、韓国、中国の製作体制の違い 
国際共同製作の舞台裏を語る前に、日本、韓国、中国の映画製作事情について説明がありました。
日本は大手配給会社が資金を提供し製作の役割を担います。資金を出す代わりに口も出すそうで、しかも公開後の利益はヒットの度合いに関わらずほぼ製作側を独占し、制作側は制作費の中で利益を捻出する必要があるそうです。
韓国は、業界の中で資金を出す製作側が60%、実際に映画を作る制作側が40% の利益を受け取るという分配率が業界基準として存在するが、製作会社とのパワーバランスの中での交渉で決まるとのこと。
そして中国は、日本と同様に資金を出資する製作側の権限が強く、中国の場合 すべての利益を独占するそうです。ただ、日本と異なるのは予算以上の資金が用意されることが多く、制作側はその資金をある程度自由に使える権限があるそうです。その資金をどこにどう使うかが監督の腕の見せどころ、といった感じでしょうか。今後は また利益配分の 韓国のように制作会社側も興行収益を要求する動きになりつつある。という報告でした。

2)国際共同映画の舞台裏 
チョ監督自身が、韓中共同製作により2015年公開を目指して現在制作中の映画作品について、共同製作となったきっかけや過程、エピソードなどを語ってくれました。また、製作サイドである中国側の脚本手直し条件や、キャスティング、撮影スケジュールの苦労なども語ってくれました。チョ監督自身が印象的だったのは、追加資金もどんどん出すし、撮影途中や撮影完了後からのキャスティング変更やシーン変更などは当たり前だったこと。とにかく中国サイドの製作側は作品が成功するためならなんでもやるという姿勢が明確なのだそう。監督自身、それが正しいかどうかは分からないが、成功する映画を作るという視点から見たら悪いことではないと語っていました。それを裏付けるように、出会った映画関係者すべてに対して「中国の映画界は中国語ができれば10年、いや20年は仕事ができるからぜひ中国語を身に付けるべきだ」と話しているそうです。

3)制作費獲得方法 
釜山国際映画祭の際に開催された、映画買付の現場や資金調達を目的とした企画マーケットの様子をチョ監督自身が紹介してくれました。監督は『花嫁はギャングスター』などのヒット実績があるため、制作側にアプローチすることはほとんどなく、製作側となる投資者の方から監督にアプローチする形で企画が進んでいくことが多いそうです。
現在は、韓国、中国、マレーシアの3カ国が出資する映画作品の制作準備中とのことでした。
また制作費の出資を受けるには、情熱、作品のセールスポイント、正直さ、の3つが大切だそうです。それぞれの言葉の意図についても説明されました。
情熱…自分が納得できるまでアイディアを育て続ける、さらにはそれを自分で制作することにこだわる姿勢。
セールスポイント…これまでの作品にない新しい目線や視点を探し続け、それをセールスポイントとする。
正直…約束、予算などについて、正確&正直にやり続けることが信頼に繋がり、それが人脈となり未来を支える。

4)質疑応答 
セミナーの最後には質疑応答が行われ、さまざまな質問に対し丁寧に答えていました。映画製作に関する質問はもちろんのこと、中国や韓国で人気となる映画作品の特徴、日本映画界の構造的問題に関する質問、質問者が携わっているメディアについて海外進出に関するアドバイスを求める質問をはじめ、企画マーケットなどで企画を通すための具体的なポイントや秘訣などに関する質問などが投げかけられました。

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5)懇親会 
セミナー終了後は、監督を交えて交流会が開催されましたが、セミナーに参加した受講者の大半が参加していました。まずはアルコール片手に韓国語で乾杯の発声のあと、多くの参加者が監督に直接質問していました。同時に参加者同士の交流も積極的に行われ、多くのつながりが生まれていました。
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