18/2/22 『IoT Business Boost-up DAY 最新のビジネスプランが集結!プログラム』(1/3)
「IoTサービスのアイデアを形(ビジネスプラン)に」をテーマとした、4ヶ月間のビジネス創出プログラム「AIDORアクセラレーション」。その受講生によるデモデイ『IoT Business Boost-up DAY 最新のビジネスプランが集結!プログラム』を平成30年2月22日(木)に開催しました。
当日は、180名を超える方が来場し、いままさに日の目を見ようとするビジネスプランのプレゼンテーションに熱視線を送りました。
「AIDORアクセラレーション」の今年度の受講生は、全2タームを合わせて20チーム。デモデイでは、そのなかで5分プレゼンと1分プレゼンに分かれてプレゼンテーションを行いました。今回のレポートでは、各登壇者のプレゼン内容を登壇順にお届けします。
●審査員
今堀 崇弘氏(株式会社日刊工業新聞社 大阪支社 事業出版部 副部長)
河瀬 航大氏(株式会社フォトシンス 代表取締役社長)
清水 力氏 (日本ベンチャーキャピタル株式会社 投資部門 ベンチャーキャピタリスト)
瀬川 寿幸氏(一般社団法人i-RooBO Network Forum 理事)
吉川 正晃氏(大阪市 経済戦略局イノベーション担当 理事)
【5分プレゼン】
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①サイネージ×リサイクルタンク
チーム名:浜田化学株式会社
登壇者:岡野 嘉市氏
本業で天ぷら油のリサイクル事業や飲食事業を手がけている「浜田化学株式会社」の提案は、揚げ物油のリサイクルタンクをデジタルサイネージの架台として活用する『サイネージ×リサイクルタンク』。同社の主要取引先であるコンビニエンスストアには、使用済み油の保管場所の確保と、キャンペーンごとにPOP・ポスターなどを変更する時間と人材のコスト課題があり、それらを一気に解決するアイデアとして生まれました。また、サイネージにはコンビニエンスストアのキャンペーン情報だけでなく、他社からの広告を掲載することも視野に入れて事業展開を進めているとのこと。事業の進捗状況として、すでにコンビニエンスストアの各店舗へプレゼンを実施。将来的にはセンサー機能を付加することで、双方向の対話デバイスとしての活用も視野に入れています。審査員からは社会的意義のあるアイデアであるとの評価を受け、使用済み油の保管における安全性や、広告掲載の流れについての質問がありました。
②中小企業に対する機械設備のIoT化
チーム名:精密プレス工業株式会社×大阪府立大学工業高等専門学校
登壇者:西野 誠一氏
精密プレス工業株式会社が大阪府立大学工業高等専門学校とチームで進めているのが「中小企業に対する機械設備のIoT化」。まず製造業である同社が、工場内のさまざまな機械に取付可能な部品の加工数を計測する『OS-01』を自社開発。その製品の改良版として、計測した数値をデータ化する『IoTカウンター』と、稼働率の確認が可能な『IoTタイマー』を大阪府立大学工業高等専門学校と協力して開発しました。それらの製品は、すでに取引企業で実働検証を進めており、高い評価を受けています。また、将来的には工場内のさまざまな数値をデータ管理し、生産性を高め、収益の向上につなげる狙いもあります。審査員からは、製造業における数値データ活用の具体案について質疑があり、登壇者の西野氏は中小規模の製造業者におけるデータ化のメリットについて詳しい説明を行いました。
③ケガの防止対策に取り組む介護ロボット『ロボトレ』
チーム名:タカセ
登壇者:高瀬 潤一氏
映像・音声制御、システム設計、制御プログラム開発の事業実績を持つチーム・タカセの高瀬氏が開発しているのが、多彩な運動機器の機能を集約し、負荷の誤調整によるケガ防止と、運動データの測定・記録、そして同時に脳トレが可能なトレーニングマシンです。開発の背景は、増え続けているデイサービス事業所でのトレーニングの質の低下と、機器の誤調整によってケガをする利用者が増加していることにあります。また2018年の介護保険改定に伴い、目的が明確なサービス以外は保険点数の削減となることも、ロボトレ開発の要因としてあります。現在の開発状況は、測定機能や脳トレソフトは自社開発を進めており、2018年度中にはハード部分の組立が完了予定で、2019年の完成・販売開始を目指しています。審査員からはIoT化したトレーニングマシンのメリットについての質問があり、高瀬氏は利用者ごとにアカウント作成することで生じる運動履歴や適正負荷の情報管理のメリットについての解説を行いました。
④キッズケアステーション
チーム名:KIDSCARE 谷川
登壇者:谷川 政幸氏、谷川 傑子氏
ご夫婦であるチーム『KIDS CARE 谷川』の谷川夫妻が取り組むのが、障がいのある子どもたちと保護者、専門事業者がつながるサービス「IoTキッズケアステーション」です。開発の背景は、2人の発達障がいの息子さんを児童デイサービスに通わせている谷川夫妻の経験にありました。コミュニケーションが苦手な子どもたち、施設や子どもの状態を知りたいけどわからない親御さん、そしてスタッフの負担や施設の空きを減らしたい事業者。それらの課題を解決するためのコミュニケーションツールとして、サービス開発をスタート。具体的なサービス内容は療育支援アプリ、施設予約アプリの提供や、施設へのキッズケアサイネージの設置などになります。子どもたちには楽しく遊びながら友達作りができ、保護者には安心を届け、事業者にはさまざまな負担を軽減するサービスを目指しています。2018年夏頃には関西からサービスを開始予定で、その後全国へ展開予定です。審査員からは収益化に対しての具体的なイメージと、コアサービスについての質問があり、療育支援アプリを中心とした収益プランについての回答がありました。
▲審査員のひとり、NVCCの清水氏
⑤後付革命
チーム名:工場向上委員会(スリーアップ・テクノロジー × ナレッジ・ビー)
登壇者:高田 富明氏
小さく始めるIOT『後付革命』は、生産機械の稼働率を見える化するスターターキットです。開発者の高田氏は、工場経営者の“生産機械の稼働率”に対するニーズを感じ取り、それらを見える化できる同製品を、IoT技術を利用し開発しました。工場で使用されている生産機械には、メーカーが多種多様で型式が古いものが多くあります。それに対して、どのような機械にも取付可能で、動作を長時間止めることなく、低コストで利用できるのが『後付革命』のメリットです。センサー、ネットワーク、アプリを兼ね備えたオールインワンキットでもあり、稼働率はパソコン上にグラフ表示されます。すでに導入を開始した取引先もあり、レーザー加工機や金属成形機などにも昼休みの短時間で取り付けた実績があります。今後、高田氏は稼働率をきっかけに、さまざまなサービス展開も視野に入れているとのことです。審査員からは工場のIoT化に対する高い可能性を評価され、今後の製品ラインナップの展開スケジュールなどについて質問がありました。