17/9/20 9日目 基礎講座「データ解析編」
専門用語は不要!まずは、データ解析の本質を知ろう。
こんにちは。AIDORアクセラレーションプログラム、広報 佐藤です。
AIDORアクセラレーションプログラムも9日目。そして、今日は基礎講座の最終日です。
これまでAIDORアクセラレーションプログラムの基礎講座では、IoT・ロボットテクノロジービジネスの最近の動向、ハードウェアからデータを取得する方法、取得したデータを処理する方法、データを使ってアプリケーションをつくる方法を学んできました。
そして基礎講座の最終回となる今回、「取得したデータからどのような価値を生み出すか。」、その方法と考え方を学ぶことで、IoTのサービスを提供するまでの一連の流れを学んだことになります。
講師は、株式会社KSKアナリティクス、代表取締役の森本好映氏です。
森本氏については、こちらのブログを(http://blog.kskanalytics.com/)、KSKアナリティクスさんについては、こちらの企業の事例ページをご覧頂くと分かりやすいと思います。(http://www.ksk-anl.com/casestudy)
講義では、データを取り巻く環境と活用事例、具体的な解析技術とデータ活用方法、今後のデータ解析を取り巻く流れについて述べられました。
データ分析が、難しい理由
データ分析が難しい背景として、以下の3点があげられました。
- 1、ツールを使わなければいけない
- 2、データ分析者がなかなか採用できない
- 3、データ分析のノウハウが蓄積されていない
また、関西にはデータ分析コンサルティングの企業も少なく、業界的には人材育成の課題もあるのだとか。こうした状況の中で、自社のサービスを展開するには、どのようにデータを捉えていくべきなのか。この課題を考えるために、まず、具体的に次のような事例をもとに、データをビジネスに活用するための方法を学んでいきました。
- 取り上げられたデータ分析の事例(※一部抜粋)
- ・GE(米ゼネラル・エレクトリック)社のIoTプラットフォーム「Predix」
- ・米国のOracle 社が買収した、オープンデータを活用したエネルギー情報サービス会社「Opower」
- ・Caterpillar社の故障検知・故障サービス「CAT CONNECT SOLUTION」
- ・テレマティクス保険
- ・新商品の3ヶ月先の製品の部品の製造需要予測
価値あるデータが蓄積されているとは限らない。データ分析に必要な考え方。
データ分析に関わる「よくある質問」のひとつに、「データは多いほど良い?」という疑問があるそうです。企業が、いつか使えると思ってコツコツとデータをためているケースもあるそうなのですが、「必ずしも価値あるデータが保存されるとは限らない」、とのこと。
データ分析を行う視点で、データを蓄積している企業は極めて少なく、「分析しようとした瞬間にうまくいかなくなる。」というケースが多いそうです。
考えるべきは、導き出したいデータの「特徴」を捉えるための「説明力のある変数があるかどうか」。
こうした特徴量を捉えるのは簡単なことではなく、いま注目を浴びるDeep Learningにおいても、パラメータ(結果に影響を与える外から渡す値)のチューニングは難しいそうです。
講義の中では、「RapidMiner(https://rapidminer.com/)」というソフトを用いて、1万件の購入履歴をもとに、1千人の購買予測を行うデモンストレーションが行われました。RapidMinerは、グラフィカルなインターフェースで、予め用意されたアルゴリズムを適用させてデータ解析ができるツール。基本的に商用の有料サービスとなりますが、無料でも制限つきで利用できるとのこと。
もちろん、データ解析はこのツールに限らず、「R」「Python」「Hadoop」などを用いて行うこともできます(それこそ、分析ツールが最近はたくさんでています)。
その他にも、データ分析に寄せられる疑問として、「分析にはどのような手法があるのか」「センサーはどこにおくのがよいのか」「自社で分析する環境の選定基準はどうしたらよいか」といった内容が多くあるそうです。これらの疑問の回答についても、講義の中で解説があり、データ分析の考え方の知識を深めることができました。
講義を通して
今回の講義では、データ分析に必要な考え方に触れ、改めてその範囲の広さと学ばなければいけないことの深さを認識しつつ、どのように取り組んでいったらよいかを具体的に知ることができました。
また、データから因果関係、相関関係を導き出して経営改善に繋げる、サービスとして提供できるようになるまでには、プロジェクトメンバーにデータ分析の専門家、もしくは、専門知識を持つパートナーが必要になることが理解できました。
パートナーを見つける場合の重要なポイントとして、内製することと外注することの整理があります。
データをビジネスに生かす上で必要な3つのステップ、「①ビジネスの課題を見つける、②データを分析する、③分析結果を現場に反映する」のうち、1番目と3番目は、自社で行わなければなりません。
2番目の分析については、自社のスキルとして取り込めるようにしながら、経験豊富な専門家の手を借りることが効果的なデータ分析を行う近道になりそうです。
以上に見るように、ひとくちに「データ分析」といっても、あまりに広範囲であることから「果たしてどこから手をつけたものか。。。」と迷ってしまいそうでもあります。
この疑問について、講義後に講師の森本先生にお訊ねし、「これからデータ分析をしよう!」とする方へ、次のアドバイスをいただきました。
「分析は魔法の箱ではありません。幻想に惑わされることなく、まずは、ビジネスありき!ビジネス課題を明確にしましょう。」
まずは、どのような課題に取り組み、どのような分析をしたいかを明確にすることが重要なポイント!
収集したデータが、意味を持つことができるかどうかは課題設定次第。課題さえ明確になれば、本日学んだ知識をもとに、適切なパートナーを探すことができます。
ビジネスを少しでも前に進めようとするなら、「できること」「できないこと」「自社でやらなければいけないこと」「パートナーに任せられること」の線引きがとても重要です。
今回の一連の基礎講座では、技術を含めてIoTやロボットビジネスの基本を学び、これから課題に直面したときに、解決するためのヒントを得ることが出来ました。
AIDORアクセラレーションプログラムの受講生のみなさんは、これから、実践編のプログラムが続きます。
基礎知識編で得た知見を活かしつつ、ビジネスを具体化していくために前進あるのみです!
7月から始まったこのプログラムも、2月のデモデーを除くと、残すところあと約1ヶ月!
最後まで走りぬきましょう!