18/2/22 『IoT Business Boost-up DAY 最新のビジネスプランが集結!プログラム』(2/3)
⑥IoT的発想による産業ガス安定供給サービス
チーム名:「ガス屋とIT芸人」チーム
登壇者:境 順子氏
本業で高圧ガスの販売を行う「ガス屋とIT芸人」チームでは、『IoTでいつでも「安心・快適」のガス管理サービス』に取り組んでいます。近年、酸素ガスや水素ガスなどの高圧ガスは多分野で利用されているものの、ユーザー側には残量の管理が難しいことや、販売業者には急な発注、再配達でのコストアップなどの課題があります。それらを克服するサービスとして、同チームではガス残量監視システム「ガスケール」を企画。重量センサーによってガス残量を計測し、利用者や事業者に知らせることで、双方にとってガス切れによるデメリットを解消します。従来から存在するガス残量監視システムは、高精度な測定が可能な反面、高価格がネックです。その点、「ガスケール」は小規模ユーザーをターゲットにしたシンプルな製品を低コストで導入できるメリットがあります。審査員からは、プロジェクトの進捗状況についての質問があり、登壇者の境氏からは現状ではシステム・ハードの開発段階であり、協力パートナーとのマッチング状況を考慮して、2018年度前半には本格的な開発をスタートしたいとのことです。
⑦三人力(さんにんりき)
チーム名:三人力(さんにんりき)
登壇者:安池 和仁氏
実験物理学の専門家であり、アメリカでの勤務経験を持つ安池氏が開発しているのが、自動車整備工場向けのヒト協調型ロボット『三人力』です。自動車整備業では慢性的な人手不足によって、勤務時間の増加やひとりで危険な作業を行わなければいけないなどの課題が見られます。その課題を解消するものとして『三人力』を開発。基本構造は整備工場に設置するパワフルなアシストアームで、通常2人で行う作業を、ロボットと協調することで一人作業が可能となり、作業時間の短縮や人的コストの削減などのメリットもあります。また作業内容に合わせてアタッチメントの交換ができ、さまざまな業務に対応することも可能です。審査員からはハードウェアの提供費用についての質疑があり、安池氏からは音声認識技術などを利用した安価なシステムインテグレーション開発を行うことで実現可能であると回答されました。
⑧FAst support
チーム名:チーム個人開発
登壇者:長坂 健嗣氏
ビルの空調機器メーカーに勤める長坂氏は、工場ラインの立ち上げや設備設計、保全業務に携わっている経験から、現場作業支援システム『FAst support』を開発しました。長坂氏の職場では100種類以上の製品製造を行っており、作業者はそれらの製造手順を体験的に覚える必要があります。その課題に対して従来は紙の手順書を作成していたものの、作業中の確認が困難などの理由で有効活用されていません。そこで作業中でも手順確認が容易なチェックリストシステム『FAst support』が生まれました。サービスの基本はタブレット端末に製品ごとのチェックリストを表示し、作業終了ごとにタッチ確認するものです。チェックリストは文字認識や音声入力と直感的操作で簡単に作成できます。また、作業の効率化を図る改善ツールとして、人の作業の必要性を機械学習で自動分類する機能を備えることで、より利便性の高いものとなります。現状ではデモアプリを製作中で、導入検討先を募集中です。審査員からは質疑の他、チェックリストを作成する上での要点の出し方などのアドバイスもありました。
⑨マスティケーションキャンセラー
チーム名:miso知る
登壇者:渡辺 健太氏
現役大学生でもあるチーム「miso知る」の渡辺氏は、“ミソフォニア”という症状に着目しました。ミソフォニアとは生活空間にある音の中で、聴くだけで不快に感じる症状のことです。そのミソフォニアの中でも、食べ物の咀嚼音を苦手とする人は多いにもかかわらず、社会的な認知度は低く、診断・治療が確立されていない課題があります。そこで渡辺氏は咀嚼音(クチャ音)だけを気にならなくする世界初のアプリケーションを考案。製品イメージはイアホンデバイスを装着し、スマートフォンアプリを起動。咀嚼音を感知すると、音のタイプに合わせて快音化処理します。快音化処理は不快音に対して、音を加えて気にならなくするものなので、利用中にすべての音が遮断されるわけではなく、会話を普通に楽しむことが可能です。その点においてデジタル耳栓やノイズキャンセリングイヤホンの既存品と比較しても、高い競争優位性があります。現在は快音化処理技術を持つ大学機関との連携を進めると共に、音響やソフト開発企業とのパートナーシップを模索中です。
⑩スペースの価値を見える化してマッチング
チーム名:合同会社ユキサキ
登壇者:神野 太志氏
デザイン制作を本業とする合同会社ユキサキの神野氏が提案するのは、スペースの価値を見える化してマッチングするプロジェクト。同プロジェクトは、チラシを置いてもらえるスペースを検索するWEBサイト『エーヨ!』と、そのスペースの価値を顔認識と人体検出技術により推し量る『空間視聴率』の2つのソリューションによって構成されます。すでにサービスが開始されている『エーヨ!』の利用メリットとして、チラシを置きたい人にとっては効果的な販促活動の支援となり、スペース提供者には設置による売上アップにつながります。またそれに、それぞれのスペースの人気度や価値を測定する『空間視聴率』の概念を掛け合わせることで、リアルな場所を中心とした新しいメディア産業の樹立を目指すプロジェクトとなっています。発表後、審査員からは興味深い提案であるとの賛辞と共に、コンサルティングサービスなどへの展開を視野に入れたアドバイスもありました。