17/8/23 6日目 基礎講座「クラウドサービス編・座学」
クラウドについて理解を深める!
こんにちは。AIDORアクセラレーションプログラム、広報 佐藤です。
AIDORアクセラレーションプログラムも、2回の基礎知識講座と3回の実践編を通して、中盤にさしかかっています。
今回は、全6回の基礎知識講座の3回目「クラウドサービス編(座学)」です。
IoTのビジネスをつくるにあたって必要な、データ処理やアプリケーションを構築する基盤となるサーバ。どのサーバを、どのサービスを選択するべきか?
それは、「実現したいことによる」のですが、将来的な事業の方向性やスケールが読みづらい事業の創業期では、トライアンドエラーを行いやすく、初期の運営コストを加味した環境が必要であることはいうまでもありません。
こうした点から、AIDORプログラムではクラウドサービスの活用方法を理解するためのプログラムを提供しています。
そして今回は、代表的なクラウドサービスのひとつ、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社の辻 義一氏に、Amazon Web Service(以下、AWS)の概要とその活用例についてお話いただきました。(※以下、画像資料は講義のスライドを転用しています。)
IoT でも利用例多数!クラウドの事例
IoTのクラウド活用事例には、様々なものがあります。
例えば、回転寿司のスシローさんはRFIDを用いて、売り場のデータを収集し、お寿司の廃棄率の5%削減に成功 、需要予測を店舗ごとに立てて売り上げに結びつけています。
(参考資料:【中堅中小IT化】RFIDタグシステムにより、回転寿司の単品管理を実現(ビジネス+IT))
その他にも、「店舗内の来店客と従業員の導線を可視化するサービス」、「自動車の走行状態を監視して、車両のモニタリングと操作を行うサービス」、「牧場で牛の活動量を計測して人工知能と組み合わせて管理して畜産・生産性改善をするサービス」など、クラウドを用いたIoTのサービスは数多く存在します。
そして、クラウドが利用される理由には、次のような顧客ニーズがあるとのこと。
「利用が拡大するかもしれないし、実験的な取り組みで終わるかもしれない。」
「すぐデータを分析してみて、有意義な結果が出るかやってみたい。」
こうした要望に対して、クラウドであれば、規模が拡大しても処理が可能(スケールアウトが簡単)で、使用した分だけ課金されるオンデマンド課金システムなので、「システムの将来性も持たせつつ、気軽に試すことができる」ことから、顧客は利用のメリットを感じやすいそうです。また、AWSはすぐに利用できるインフラが整っており、データ分析に利用できるサービスも充実していることから、IoTの新規プロジェクトとも相性がよいのだとか。
Data Lakes という考え方
「IoTは取得したデータをいかに活用するか」が、ビジネスのひとつの肝となりますが、その「取得したデータをどうするか」、ということを捉える概念のひとつに「Data Lake(データ レイク)」があります。
「Data Lake」について検索をすると、参考となる記事がいくつかあがってきます。解釈としては、「データは『今』しかとれないから、貯められるだけ貯めておく。加工は必要なときに後で行う。」というものになります。講義の中では、運営上のポイントとして、「最初から極力データを貯めておく」そして「安いところに預ける」といった点があげられていました。たしかに、データが誰からも使われないままだと、データを保存しているサーバの維持管理費がコストになるだけなので、安いところに預けたほうがよいですよね。
また、調べてみると、「データをためる仕組み」だけをData Lakeと呼ぶこともあれば、Hadoopなどの分散処理基盤によるデータ蓄積など「データが活用できる仕組み」までを含めてData Lakeということもあるようです。
目的によって、システムのアーキテクチャーは様々
IoTに限らず、利用目的によりシステム構成は様々です。したがって、システム構築の際には目的に応じたデータの収集方法、処理方法の検討が重要になります。データの収集において、リアルタイム性が必要となるかどうか(必要な場合、どの単位で必要か)、位置情報は必要になるのか、どこで制御をするかなどなど。
そして、実際にAWSを用いて、どのようなシステム構成でサービス展開をしているか、サンプルと実例を交えてご紹介いただきました。
講義を通して
今回は、これまでの概論とは少し異なり、専門性の高い講義となりました。講義の最後の質疑応答では、システムの機能や導入にあたって気をつけるべき点など具体的な質問も多く出ました。
実際に、つくりたいシステムに必要な要件を整理し、設計を行うことは難しく、プロフェッショナルでなければ実現できない領域です。講義後、参加チームによっては実現したいアイデアに対して、現状ではエンジニアリングのスキルや知識が足りないことを実感し、そのギャップを埋めるためにどうすればよいか、課題を認識できたという意見もありました。
自分の専門外の講義では、ともすると、「難しくて出来ないかもしれない。」という不安が頭をもたげそうですが、
アイデアだけでは難しいビジネスの壁も「やりたいこと」がハッキリさえしていれば、それを羅針盤として、課題は克服できるはず!
最後に、講師の辻先生からも、前向きなメッセージをいただきました!
「AWSは、試行錯誤しながらつくるには、とても向いているソリューション。
机上で考えるより、サクッと実装してしてみよう!」
まずは、課題があっても前向きに手を動かすこと!それが大事。
AIDORプログラムには、課題を解決に導くために存在する、専門コーディネーターもいます。
次回は、実際にAWSをつかって、デバイスとクラウドのデータ連携を行う実技です。
経験すれば、より具体的にクラウド活用のイメージができるはず。
次回も、がんばっていきましょう!