特別寄稿「海外メディアニュース~香港フィルマートレポート」AIR Inc.岡野健将氏
■セミナー開催 4月22日(木)「アジア・アメリカの映像市場~コンテンツ海外販売・買付の可能性を探る~」
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(以下本文)
「香港フィルマートレポート」 AIR Inc.岡野健将
3月22日から始まった香港フィルマートは、映画とドラマが多く、掘り出し物のコンテンツを見つけるのには一苦労しています。29カ国から540社 以上が参加しており、中でも中国本土からは120社以上が参加するという力の入り様でした。中国は映画製作で世界第3位の市場で、今年の中国国内での映画 の興行収入は1500億円近くになると鼻息の荒いコメントもありました。
他にもフィリピンと台湾は参加社数が昨年から倍増、マレーシアやタイ、韓国も昨年よりも占有するスペースは拡大したということです。
またフランスを筆頭にヨーロッパ勢も、映画の版権販売や撮影誘致などで大きなスペースを押さえて積極的に売込みをかけていました。特に誘致に関しては、各 国でタックスクレジットなど政府の政策で後押しをもらっているので、その点では日本は苦しい立場に立たされてしまっています。
さて、概略はこれくらいにして、まずは4日間を通して個人的に強く感じたことは、アジア各国にすら押されてしまっている日本のコンテンツビジネスの現状が悲しかったということです。韓国の放送局KBSくらいなら皆さんも名前くらい聞いたことがあると
思いますが、フィリピンのGMAや香港のTVBなんて聞いたこともないのではないでしょうか?どちらもそれぞれの国でナンバー1のテレビ局なのですが、自国内の市場規模が小さいことから、番組の企画段階から世界市場向けに番組制作をしているそうです。少なくともアジア一帯、TVBの場合は広東省とアジア各国にいる2億人以上の中国語圏を視聴者として捉えています。
多数参加していた各国ブースは配給会社としてだけでなく、製作会社としての機能も兼ね備えており、多くが自社製作の番組を取り扱って
いました。そこで彼らに同じ質問をしてみたところ、返ってきた答えは全て同じでした。
質問は「これだけの番組の制作費はどうやって確保しているのか?」 答えは「自社で調達した」でした。
投資も含まれるでしょうし、融資もあるのかもしれませんが、タイの配給会社のブースで「We have enough money(十分に金はある。)」と言われたときは驚きました。
作品のレベルは別にして、コンテンツビジネスという点では、日本は国際市場ではこれらアジア各国にすら遅れを取っていると言わざるを得ません。
そしてレベルという点でも、現地にいるときに日本の4月からの各局の改編された番組内容を聞いて余計に落ち込んだことは言うまでもありません。愕然としました。
国内にリスクを取って投資するMONEYがないのが大きな要因ですが、各関係者の考え方も日本式から踏み出して世界基準で物事を考えないととてもではないですが、彼らと対抗することは難しいのではないかと感じました。あくまで個人的感想ですが、大きく間違っているとは思えません。大手メディアは別ですが、多くの中小映像コンテンツ関連企業にとって、今後日本のコンテンツビジネスが狙えるのは、急成長している中国、テレビ新興市場の中東、東欧、そしてアフリカです。アメリカと
ヨーロッパ(西欧)も勿論攻めていかなければいけない市場ですが、今の日本のコンテンツでどこまで勝負出来るか大きな議問です。
上記新興市場の可能性も少しですが話を聞き、そこでの可能性は巨大なものであることを確信しました。また香港で100年以上の歴史がある法律事務所の方から聞いた中国での著作権関連の状況も、それほど悲観することはないということでした。また3月半ばには日中で著作権に関する相互協力の覚書が交わされたことなどから、心配して動かないより、リスクを取っても積極的に攻める時期に来ている気がしました。
会期中、平行して映画の試写会が行われていました。全部で260本の映画が放映されたそうです。何本かの映画を試写しましたが、個人的な香港フィルマートの締めくくりとして4日目の夕方閉幕前に上映されていた「おとうと」という映画をみました。時間も時間だったので観客は数十人程度でしたが、あちこちですすり泣くような音が聞こえました。私も含め多くの人が心打たれた映画でした。流石日本のコンテンツ。底力を感じた瞬間でした。
アジアのドラマやアニメに手を出してみたいという方、もちろん、他のジャンルのコンテンツでも興味のある方はぜひご一報下さい。トレイラーも含め試写DVDは多数入手しております。各社と良好な関係を築く下準備は抜かりなく行ってきています。
アジア各国は日本市場には大きな関心を抱いています。
ご興味のある方は、個別でも対応致しますので、いつでもご連絡を。
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