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Interview

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vol.20

社会の期待に応えるシステム開発を

株式会社 海岸線
上田 太久治氏

株式会社 海岸線
上田 太久治氏

どこでも、誰でも、すばやく、簡単に…

まず伺ったのは、IT企業に勤めた経験の無い上田氏が「なぜIT企業を起業したのか?」ということ。「独立前の直近は5年、旅行会社でWEBサイトやチラシなどのデザイン制作の仕事をしていました。その業務の中で、まわりからの『こんなコトやあんなコトはできない?』というリクエストに応えていたら、いつの間にかシステム開発のスキルが身についていたんです。このサービス精神旺盛な性格のおかげで、IT開発者としての下地ができました」。

株式会社海岸線のシステム開発コンセプトは「どこでも、誰でも、すばやく、簡単に…」。人が介入する必要の無い作業を出来る限り自動化させ、より高効率に組織運営することを念頭にしたシステム開発を行っている。「起業してはじめに、すべてのシステムのベースとなるCRM『顧客管理システム』を作りました。このシステムは、それ以降に開発されるシステムの中核となるように配慮されており、派生版のシステム開発を容易にしてくれるものです。実際に、それ以降に『誰でも更新シリーズ』として、いくつかのシステムを開発し、税理士や不動産会社向けなどのシステム開発も行っています」

そして現在、最も力を注いでいるのが医療業界における新システムの開発だ。「病院やクリニック向けに、医療機関と患者をつなぐ『プライベート掲示板システム』を開発しました。これは医療機関の相談窓口として第三者が閲覧できない1対1のプライベート掲示板で、匿名性が維持されつつ、医療機関側は多数の相談者を相手に容易に業務をこなす事が出来るシステムになっています。メールでの相談窓口だと、多数の相談者を相手にした場合どうしても相談内容を時系列に把握しにくいのですが、こちらのシステムではテキストはもとより画像もスマホなどから撮影(患部など)・添付でき、時系列にそれらの情報を読み解く事が可能になっています。その後、患者さんが実際に受診した場合には匿名だったものが実名化され、相談履歴が医療機関と共有でき、スムーズな治療を行えるという仕組みです。現在は、このシステム開発・販売に注力しています」

無料コワーキングスペースからスタートアップ
趣味をきっかけに入居を決定!

上田氏は2016年6月に独立へ向けて動き出した。「独立して自宅以外で仕事のできる環境を探していました。その時に見つけたのが、イメディオのコワーキングスペースCopla南港です。広くて綺麗な場所でノートパソコンを持っていければネットも無料で使えるのには驚きました。そこで数ヶ月は海を見ながら仕事をしていましたね。その時の経験と釣り好きというのが会社の名前の由来でもあります(笑)」。そして、現在のインキュベータオフィスに入居するきっかけになったのも、『釣り』だと上田氏は話す。「Coplaで仕事をしている時に所長の加味さんが話かけてくれまして、お互いに趣味が釣りだったことで話が盛り上がりました。それ以降は、事業や経営のことについてもいろいろと相談させてもらい、本格的に起業するにあたり、2017年3月にインキュベータオフィスへ入居しました」

入居者同士や事務局スタッフなど
人のつながりが生み出すメリットを享受

イメディオのインキュベータオフィスで仕事をすることのメリットは、「いろいろと多すぎます」と上田氏。「まず入居者同士のつながりができること。そして事務局を含めて事業の相談をできる人がいることは大きいですね。一人で仕事をしていると、どうしても視野が狭くなってしまって、凝り固まった見方や考え方しかできない場合がありますから。それとイメディオとつながっていることで、有益な情報をもらえることも多いです。現在、大阪イノベーションハブ(OIH)で開校しているビジネススクールに参加しているのですが、これをアテンドしてくれたのもイメディオ事務局でした。健康・医療分野の方が集まるスクールなのですが、ここで医療関係者やMBA取得された看護師さんとのつながりも生まれて、今の事業展開に大きな影響を与えてくれています。それに何と言っても家賃が安い(笑)。この金額で会議室やセミナールームなども利用でき、シャワーもあるので夜でも安心して仕事ができます」

課題を解決し、ITを軸とした 多角的な事業展開をイメージ

現在の抱えている課題はマンパワー不足だと、上田氏は話す。「企画・開発・デザイン・販促・営業などを今は一人で行っているので、マンパワー不足は大きな課題です。それで営業および顧客対応などについては外部のブレーンさんに委託できるように調整しています。それでも人的ソースはこれからも課題だと思います」。最後に、今後の事業展開について話を伺った。「釣りが好きで、南港が好きなので、できればこの場所は離れたくないですね(笑)。事業としても、現在は医療業界に注力していますが、宅建資格を持っているので不動産業界などでもITを活用した展開もイメージしています。さらに、その先ではIT事業で会社としての軸を作り、その上で新規事業にも取り組んでいきたいですね。イメディオには3Dプリンターの設備もあるので、それで釣り用ルアーの造形とかもできればとも思っています(笑)」。
掲載日 
取材・文 中西 義富(Office Vinculo)