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vol.26

日中の架け橋になる、発展的ビジネスを!

株式会社展智ビジネスリンク
阜東 丹桜 氏

株式会社展智ビジネスリンク
阜東 丹桜 氏

日本と中国をつなぐ理想的なプロフィール

株式会社展智ビジネスリンクの取締役を務めるのが、1998年に来日し、日本国籍を取得した阜東丹桜(ふとうにか)氏。「中国では三文字の漢字名が多いので、四文字の漢字名が憧れでした。丹桜は中国の国花『牡丹』と日本の国花『桜』にちなみ、日中の架け橋になりたいという想いを込めました」と話す阜東氏。まず日本で新たな事業を始めるまでの彼女のプロフィールを伺った。

「来日して立命館大学を卒業した後、大手旅行会社に就職しました。当時はちょうどインバウンド需要が本格的に始まる前。その会社では本社採用の正社員として初の外国人採用者ということもあり、とても良くしてもらいました。旅行会社では営業担当で、この時にお会いした方々との人脈が今でも活きています。旅行会社で3年間勤めた後に、関西広域連合(当時:関西広域機構)に転職。主に中国向けに関西の魅力を発信するプロモーション事業に携わっていました。この時代に中国の投資家とのつながりは増えたと思います。その後は出産して休職していましたが、前職時代のつながりから奈良県で『外国人観光客「もてなしの輪」アドバイザー』として、観光地の皆様に外国人の受け入れ方法などをアドバイスする仕事をさせていただいていました。ここでも一般の外国人観光客だけでなく富裕層や投資家ともつながりが生まれて、現在に活きていますね」

私生活を含めて非常に充実した人生を歩んできた阜東氏。
「インバウンドなど時代の流れも含めて、本当に運が良かったと思います。それだけに、何か日本と中国に対して『恩返し』がしたいと思って起業しました」

海外投資家と日本企業をマッチング

現在の事業内容について、阜東氏は次のように話す。
「当社には、私のこれまでのビジネスキャリアから、海外投資家とのつながりが多くあります。その投資家へ日本のビジネスプロジェクトやベンチャー、スタートアップ企業を紹介することで、投資してもらう仲介ビジネスを展開中です。つながりのある海外投資家は、中国を中心にシンガポールや欧米の方で、日本市場への関心が高い投資家ばかりです。会社設立は2020年7月ですが、それまでに個人事業としてコンサルティングやマッチング業務を行っていました」

個人事業時代を含めて、すでに事業実績も複数ある。
「昔からの知り合いである国立大学教授が関わっている、いくつかのプロジェクトで出資の話は継続的に進んでいます。その他にも最近ではコロナ禍の2021年1月に新しい契約が締結されました。東北で地域振興を目的に医療器具などを商品開発している企業の事業に対して、中国の投資家が興味を持ち、出資が決定しています。このような社会環境なので、来日して視察することが叶わない状況でしたが、当社が代わりに現地視察し、インターネットを通じてプレゼンすることで話がまとまりました」

現時点では知人もしくは知人の紹介によるビジネス展開が中心だが、最近では徐々にウェブサイトを通じた問い合わせなども増えてきていると、阜東氏は話す。

縁があると感じたベイエリアのTEQS

阜東氏がTEQSに入居したきっかけは、至ってシンプルだ。
「自宅が近い(笑)。それに、このベイエリアが大好きなんです。私の中国の故郷は山間部だったので、ずっと海への憧れがありました。また、旅行会社時代に担当した一番大きな展示会をインテックス大阪でやっていた時も良い場所だと感じていましたし、子どもをよくATCに遊びに連れて来ていたこともあって、なにか縁があるんだと思います」

またTEQSに入居することで、会社の弱点を補う狙いもある。
「当社の弱点の一つがIT分野です。IT、IoTなどについて、もっと多くのことを学ぶ必要がありますし、もっと活用していかなければいけません。それに投資家に紹介する日本のベンチャーやスタートアップ企業の多くがIT系ビジネスを展開していますので、そのような方々との出会いが増えるのではないかと思い、入居させてもらいました」

人との出会いについては、すでにメリットを感じていると阜東氏は話す。
「先日はTEQSのメンターでもあるベンチャーキャピタルの社長様と面談させていただきました。そこではビジネスでのマネタイズや契約方法など、当社の悩みを相談させてもらったのですが、アドバイスをいただくと共に、逆に海外投資家とのつながりを活かすための協業のお話もしていただけて、新しいビジネスの広がりも生まれそうです」

注目される日本市場で投資する立場へ

最後に今後の展開や将来の目標について伺った。
「海外投資家からの『日本に来たい』『日本でビジネスがしたい』という気持ちは強く、日本に対して良いイメージを持っている方が増えているように思います。当社にとってはチャンスです。コロナ禍でも少しずつ実績を残していき、コロナ後にはさらにビジネスを飛躍させたいと思っています。またITを活用することにおいては、当社のウェブサイトで海外投資家と日本の企業をマッチングする仕組みを思案中です。日本の投資家と企業をつなぐマッチングサイトはありますが、海外投資家と日本企業をつなぐサイトはまだ見当たらないので実現すれば、面白いことができると感じています。そして、その先の夢は、当社もベンチャーキャピタルとして投資する立場になることです。日本に頻繁に訪れることができない海外投資家の代わりに、資金運用や資産管理をする事業に発展していきたいと思っています」
掲載日 
取材・文 中西 義富(Office Vinculo)

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