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vol.24

世界中のソリューションを日本市場へ展開

株式会社アイ・エヌ・スクエア
西川 昌吾 氏

株式会社アイ・エヌ・スクエア
西川 昌吾 氏

ITサービス業界のプロフェッショナルが作る、新たなベンチャー

「私は、ITサービス業界での営業歴が30年以上になります。そして私と一緒にこの会社を立ち上げた仲野は、開発歴が40年を超えるベテランエンジニアです。二人して同じ会社に勤めたこともありましたし、お互いが国内企業や外資企業などでさまざまなキャリアを積み、大規模なものから難しいものまで、ありとあらゆるシステム構築を経験してきたという自負があります」

そんな西川氏も、この数年間は次世代を担う人材の育成に力を注いでいた。「近年は国内の大手電気メーカーに勤めており、これまでの経験を後輩たちにつなぐ人材育成に関わる時間が長くなっていました。しかし、どこかには『もう一度プレーヤーとして戻りたい』という気持ちが(笑)。そんな時に思い出したのが仲野と『いずれは二人で事業をしましょう』という約束でした」

同社の企業コンセプトについて、「完全に利用者の立場になったシステムを提供すること」と話す西川氏。「これまでのITサービス業界を見渡すと、提供者側の理屈や提案で作られているサービスが多いと感じています。利用者が求めていないオーバースペックのシステムを提供するのではなく、利用者の立場になって本当に必要としているシステムを提供したいと思い、この会社を設立しました」

ソリューションをプロジェクトごとに最適化するマネジメント能力

2019年2月に設立した株式会社アイ・エヌ・スクエアの事業内容について、西川氏は次のように解説する。「私たちの仕事は、世界中のさまざまなソリューションを探し出し、日本の市場に広げていくことです。ソリューションは私たちが自ら探すこともありますし、これまでのビジネスキャリアの中で生まれた人脈を通じて、ご紹介いただくこともあります。それらを日本で利用者に向けて最適化されたサービスとして展開していくのが私たちの役目です」

同社は、世界中の最新ソリューションの動向について、常にアンテナを張り続けている。事業が本格的にスタートした2019年4月から約半年が経過した段階で、2つのソリューションについて日本での動作検証などを終えて、サービス展開に向けて動き始めた。

その一つがチェコのBellaDati社が提供している「Telematics IoT プラットフォーム」。過去の事例では車のシガーソケットに付いたセンサーによって、ブレーキ・加速・運転情報・走行情報・衝突検知などのデータを取得し、さまざまなサービスに役立てられるシステムがあるが、同社ではこれを別ジャンル向けに利用するプロジェクトを進めている。「現在は園芸機具に振動センサーを取り付け、異常検知を行うソリューションを検討しています。振動センサーから得られる情報によって、機具の稼働状況やモーターなどの異常振動の検知による故障予知、位置情報の検知による盗難防止、更に将来の自動運転実現など、いろいろなサービスが考えられます。これらをIoT プラットフォームとして実現するには利用者である企業が求める細かな要望を把握しなければいけないと同時に、対応が必要なことを適格にコンサルティングしなければいけません。そうしたプロジェクトのトータルマネジメントを私たちが担っています」

企業のPCの在り方が変わる、ソリューションの展開

そして2020年から本格的に取り扱うのが、アメリカのWorkspot社が提供している「Cloud Desktop ソリューション」。これはMicrosoft Azure上のバーチャルマシンをPCやCADなどを使う高性能ワークステーションとして使用し、利用者は必要最低限のスペックを備えたシンクライアント端末からクラウド経由でアクセスして使うというもの。このソリューションの利点は、かなり多いと西川氏は話す。

「このソリューションを利用することで企業側はアカウント管理が安易になり、セキュリティ強化においてもメリットがあります。利用者は、どの環境下でも同スペックのPCで作業ができるので効率的です。また、従来のVDI(Virtual Desktop Infrastructure)は初期コストが高価でしたが、これはクラウド版で安価に利用できます。さらに、作業内容に合わせて柔軟に利用スペックが個別に変更できるのも大きなメリットです」。

インキュベータオフィスで多くのメリットを享受

2019年4月から株式会社アイ・エヌ・スクエアはTEQSインキュベータオフィスに入居し、本格的にビジネスをスタートした。「5~6年前、仲野がフリーランスで活動していた時に、このインキュベータオフィスの存在を知っていました。それで今回起業するにあたって、事務所を検討した際に、真っ先に話に出たのがここでした」。

入居から約9ヶ月が経過した西川氏に、改めてTEQSインキュベータオフィスのメリットについて振り返ってもらった。「メリットは本当に多いです。まず自分たちでは入手しにくい情報が得られること。経営支援の話はもちろんですが、最近では特許関係の話でもいろいろと助けてもらいました。なかでも良かったのが、シリコンバレーで事業サポートしているメンターの方のコンサルティングを受けられたことです。私たちは海外進出を考えていませんが、海外の情報やコネクションは是が非でもほしかったので、非常に有り難かったですね。」

その他、入居者同志のつながりも同じスタートアップ企業として刺激になると西川氏は話す。「それと信用面でもメリットは大きいです。入居には審査があり、それを通過した企業として認められていることは、対外的も大きな信用になっています。あとは、家賃が格安であるのも、見逃せないメリットです(笑)」


現在の課題は「リソース不足」と話す西川氏。「現在は私と仲野の2名に加えて、顧問2名の計4名でビジネス展開しています。現状の業務を回すことはできますが、新しいことを始めるにはどうしても人手が足りない。特に、エンジニアが不足しています。私たちの事業では、ただプログラミングができるエンジニアではなく、サービスやシステムの目利きができ、ユーザーの要望を見聞きできる、熟練レベルのエンジニアが必要です。ブレーンや協業という形でも良いので、そうした技術を持ったエンジニアとは積極的に出会いたいですね」
掲載日 
取材・文 中西 義富(Office Vinculo)

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