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vol.04

利便性とセキュリティを両立するVPNルータで世界を狙う

株式会社シントニア
山辺 恵三氏

株式会社シントニア
山辺 恵三氏

専用線に迫る高秘匿性を備えたルータ『HSR』

株式会社シントニアは、ネットワークの経路を守る点からセキュリティを裏で支える『高秘匿性暗号VPNルータ(HSR)』を開発・販売する企業だ。だが「セキュリティ事業はなかなか一般企業には理解されにくい」と代表取締役の山辺恵三氏。
「家の場合はカギを掛けたり、保険に入ったり、ホームセキュリティ会社と契約するなど、複数の方法で家を守ります。同様に、インターネット~パソコン内のデータを守る場合も、複数の方法で守る必要があるはずなのですが、市販のソフトを入れれば100%安全だと考える人が非常に多いんです」

高いセキュリティレベルが必要な大手企業や研究機関は、専用線という物理的に隔離された回線を持つことで高レベルのセキュリティ環境を保持しているが、これには高額な維持費用が必要となる。また、それを簡便にしたサービスとしてVPNがあるが、専用線より安価だが専門知識を備えた人員が必要となり、中小組織ではまだまだ使えない。だが、同社が開発した『高秘匿性暗号VPNルータ(略称:HSR)』は、より安価で簡単でありながら、高いセキュリティレベルの通信環境を実現する。
「HSRは、インターネット環境と音声電話回線があれば、本商品を対向に設置することで、どこでも簡単にセキュアな通信環境を実現できます。管理サーバや専門技術者なども必要なく、専用ソフトのインストール、通信会社への届け出も必要ありません。そんな特長を生かし、これまでVPNの構築が難しかった災害現場や工事現場など仮設拠点や、海外との接続においても、簡単・安価に専用線にせまるセキュアな通信を実現します」

導入先発掘のカギは人の縁

前述の通り、日本企業の多くはセキュリティに対する意識がまだ低いため、HSRの必要性はもちろん、インターネットセキュリティの重要性すら理解されていないケースが多い。そんな中、導入先ターゲットとしているのが大学の研究機関や銀行のATMだ。
「大学の研究機関では、最新の技術や研究データなどが国内や海外を問わずにやりとりされており、ハッカーのターゲットにもなりやすい。しかも大企業のように予算が潤沢というわけでもありません。すでに複数の大学研究機関に導入されています」

もう一つのターゲットである銀行のATMについては、海外での実証実験が進行中だ。
「海外の銀行は、良いものであると思えばチャレンジしてくれる。台湾の企業と組んで、新興国の通信環境に適応するようにHSRを最適化し、ある海外の銀行で実証実験を実施中です。こうした実証実験やHSRの将来性を評価され、日本政策金融公庫の挑戦資本強化特例制度(資本性ローン)の融資対象にも認定されました。さらに9月に入って、中小企業の支援策として行政が積極的に購入に努める『大阪府・中小企業新商品購入制度」の対象商品として認定をいただきました」

HSRを成功に導く上で、重要なカギを握るのが人の縁だ。
「人の縁が一番重要です。つまり、HSRのファン、シントニアの応援団をいかに増やすかです。それが経営者の仕事だと思います。お客さんはもちろん、従業員、株主、外注先、ご指導、支援いただいているイメディオさんはもちろん、行政、金融機関、会計事務所、弁理士も私達の応援団です。今回の日本政策金融公庫の担当者を紹介してくれたのは、イメディオさんなんです。本当に感謝しています」

人の縁こそ経営のすべて

山辺氏は、起業するまで中小企業団体中央会で中小企業を対象に経営サポートをしていたこともあり、起業前からイメディオの存在を知っていた。
「起業直後は、人のつながりの拠点でもあるインキュベーション施設がベストだと考えていました。異業種の経営者などとも話せる機会があるのは貴重ですからね」

HSR成功のためだけではなく、起業直後の企業は人の縁が重要と語る山辺氏。だからこそイメディオは最適だった。
「助成金情報などを含めた情報提供や人の縁が作れる環境がイメディオにはある。人と人、人と情報がつながる触媒の役目をしてくれる場所ですね」

先述の日本政策金融公庫の融資においても、そうした人のつながりによって生まれたものだと山辺氏は考えている。
「当社は創業直後に東日本大震災が発生し、いくつかの仕事が消滅した。そんな中で将来の事業可能性を判断するのは難しかったはず。でも、融資担当者は当社商品の機能や将来性を評価してくれました。こうした人の縁を大切にしていきたい」

最後に今後の展開についておうかがいした。
「起業直後に東日本大震災が発生し、大変苦労しました。今回、日本政策金融公庫の融資もいただき、ようやくスタートラインに立ち戻れたという感じです。まずは大学や銀行ATMでHSRの実績を積み重ねていき、将来はこのHSRの仕組みを、大阪発、日本初の世界標準の規格として、スマートフォンをHSR化、つまり、スマートフォンをHSRとして利用できる様にしたいと考えています。」

掲載日 2013年10月23日
取材・文 株式会社ショートカプチーノ 中 直照